Claude Designで顧問先向け提案資料を作る 士業事務所の7工程

Claude Designで士業事務所の顧問先向け提案資料を作る7工程を整理。エクスポート先や組織スコープ共有の仕様、守秘義務と入力範囲の線引き、失敗例と費用体制まで一次情報で解説します。

Claude Designで顧問先向け提案資料を作る 士業事務所の7工程

Claude Designとは、Claudeと対話しながらスライドや提案資料を組み立てるツールのことです。

顧問先に出す提案資料でいちばん時間を食っているのは、中身を考える作業ではなく体裁を整える作業です。Claude Designが引き受けられるのはその後半であり、数字と条文の裏取りは事務所側に残ります。本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解やベンダーの仕様は各公表資料で確認しています。Anthropicの発表によれば、Claude Designが公開されたのは2026年4月17日で、Claude Pro・Max・Team・Enterpriseの各プラン向けのリサーチプレビューとして提供が始まりました(出典: Anthropic Introducing Claude Design by Anthropic Labs)。

Claude Designで何ができて、事務所側に何が残るのか

先に線を引いておくと、Claude Designは資料の見た目と構成を担い、事実の正しさと専門判断は事務所に残ります。ここを混ぜると、体裁だけ整った危うい資料が顧問先に届きます。

Anthropicの発表では、Claude Designはプロトタイプ、ワイヤーフレーム、デザイン探索、ピッチデッキやプレゼンテーション、マーケティング素材といった用途で使われていると説明されています。動かし方は、作りたいものを言葉で伝えるとClaudeが初版を出し、そこから会話とインラインコメント、直接編集、調整用のつまみで詰めていく流れです(出典: Anthropic Introducing Claude Design by Anthropic Labs)。士業事務所の資料づくりに置き換えると、顧問先向けの提案書、セミナーの投影資料、事務所案内、料金表の一枚もの、業務フローの図解あたりが射程に入ります。

素材の入り口が広いのも特徴です。テキストのプロンプトから始めるほか、画像やDOCX・PPTX・XLSXの文書をアップロードして起点にできると案内されています。加えて、既存サイトから要素を取り込むウェブキャプチャの機能も挙げられています。事務所側から見ると、これは強みであると同時に落とし穴でもあります。顧問先から預かった決算書や労務資料のファイルを、そのまま持ち上げられてしまうからです。ここは後段の守秘義務の節で詰めます。

出口はエクスポートです。Canva、PDF、PPTX、単体のHTMLファイルへの書き出しと、組織内で共有するURL、フォルダとしての保存が用意されています。共有は組織スコープで、非公開のままにするか、組織内のリンク保持者に閲覧を許すか、編集権限まで渡すかを選ぶ形です(出典: Anthropic Introducing Claude Design by Anthropic Labs)。組織スコープという点は実務上けっこう効きます。顧問先は事務所の組織の外にいるので、共有リンクをそのまま送っても開けません。顧問先に渡すならPDFかPPTXに書き出す、という運用が前提になります。

基盤モデルはClaude Opus 4.7で、Anthropicは自社で最も能力の高い視覚モデルだと説明しています。利用枠はサブスクリプションの上限を消費し、上限を超えて使い続けたい場合は追加利用の設定を有効にする形です。Enterpriseの組織では既定で無効になっていて、管理者が組織設定で有効化する必要があると案内されています(出典: Anthropic Introducing Claude Design by Anthropic Labs、Claude Design 管理者ガイド)。事務所でTeamプランやEnterpriseを契約している場合、担当者が使いたいと言い出す前に、誰が有効化の判断を持つのかを決めておいたほうが揉めません。

逆に、Claude Designが引き受けないものも明確です。税額の計算根拠、条文の適用関係、就業規則の文言の妥当性、登記の添付書面の要否といった専門判断は、当然ながらツールの外にあります。生成AIが条番号や施行日を取り違える問題は事務所側で潰す前提であり、この点は生成AIの条番号と施行日は疑う 士業事務所が組むダブルチェック7工程で整理したとおりです。

顧問先向け提案資料をClaude Designで組む7工程

結論から言うと、順番を、中身を固める、匿名化する、形にする、有資格者が戻す、の並びに固定すると事故が減ります。形から入ると、後から数字を直すたびにレイアウトが崩れて二度手間になります。

第1工程は、資料に載せる素材を事務所側で確定させることです。提示する数値、根拠となる条文と条番号、引用する行政資料のURL、顧問先の業種と規模。ここをテキストで書き切ってからでないと、Claude Designに渡す意味がありません。条文はe-Gov法令検索の原文で開いて条番号と条見出しを確認し、URLごと控えます。

第2工程は匿名化です。顧問先の社名、担当者名、住所、個人が特定できる数値は、この段階で記号に置き換えます。「A社」「甲」「乙」で足ります。業種と従業員規模のレンジだけ残せば、提案の説得力はほぼ落ちません。匿名化を後工程に回す設計にすると、急ぎの案件で飛ばされます。

第3工程で、骨子テキストをClaude Designに渡して初版を出させます。スライドの枚数、1枚あたりの情報量、想定する読み手の職位、投影かハンドアウトかを一緒に伝えると、初版の当たりがよくなります。

第4工程はデザインシステムの固定です。Anthropicの説明では、オンボーディング時にコードベースやデザインファイルを読み込んでチームのデザインシステムを作り、以降のプロジェクトに色・タイポグラフィ・コンポーネントを自動で適用すると案内されています(出典: Anthropic Introducing Claude Design by Anthropic Labs)。士業事務所にコードベースはないのが普通なので、既存の事務所案内や過去の提案書をアップロードして、事務所の配色とフォントを覚えさせる使い方になります。ここを一度作っておくと、以後の資料の体裁が揃います。

第5工程は詰めです。インラインコメントで特定の要素に指示を出し、テキストは直接編集し、余白・色・レイアウトは調整用のつまみで動かす。この三つを使い分けると、全部を会話でやり取りするより速く着地します。

第6工程がエクスポートです。顧問先に渡す想定ならPDF、社内で使い回すならPPTXが扱いやすいです。書き出した時点でレイアウトがずれることがあるので、書き出し後の実ファイルで通し確認をします。

第7工程が有資格者の最終確認です。数値の根拠、条番号、施行日、顧問先固有の前提が正しいかを、資料ではなく元データに当たって確認します。ここを飛ばした資料は事務所の外に出さない、という線を規程に書いておくと運用が締まります。

骨子を渡す段階のプロンプト例です。

あなたは士業事務所の資料作成担当です。以下の骨子から、投影用スライド10枚の構成案を作ってください。

前提:
- 想定読者: 従業員50〜100名規模の製造業A社の管理部長
- 目的: 労務管理の業務フロー見直しの提案
- 形式: 投影用。1枚あたりの文字数は120字以内
- 数値と条番号は骨子に書いたものだけを使い、新しい数字を作らないこと

骨子:
(ここに事務所側で確定させた素材を貼る)

出力:
1枚ごとに「見出し / 本文 / 図表の要否」を書いてください。図表が必要な枚は、どんな図かを一文で書いてください。

体裁を詰める段階のプロンプト例です。

このスライドを次の条件で調整してください。

- 事務所のデザインシステム(アップロード済みの事務所案内)の配色とフォントに揃える
- 見出しは1行に収める。2行になる場合は文言を短くする案を3つ出す
- 数字を載せたスライドは、出典の記載欄をフッターに固定で入れる
- 図表は白黒印刷でも判別できる濃度差にする
- 変更は全スライドに一括で適用する

プロンプトの中で数字を新しく作らせない、という指示は毎回入れたほうがよいです。骨子に書いていない具体数値が出てきた資料は、その時点で差し戻しの対象になります。

七つの工程のうち、事務所として時間を割く価値があるのは第1工程と第7工程です。第2工程から第6工程はやり方が決まれば短縮できますが、素材の確定と最終確認だけは短縮すると質が落ちます。実際、資料作成の所要時間を測ってみると、体裁づくりに割いていた部分が縮む一方で、素材の確定にかける時間はむしろ増えるという事務所が出てきます。これは悪い兆候ではありません。提案の質を決めているのは体裁ではなく素材だからです。作業配分が中身側に寄ったことを、事務所として評価できる形にしておくと定着が早くなります。

もう一つ、工程を回すうえで効くのが版の管理です。Claude Designの中で会話を重ねると、どの版を顧問先に出したのか分からなくなりがちです。書き出したPDFやPPTXにファイル名の規則を決めておき、案件フォルダに置いた版だけを正とする。会話の履歴を版管理の代わりに使わない。この二点を決めておくと、後からどの数字を出したかを追える状態を保てます。

顧問先資料をアップロードする前に決めておく3つのこと

決めるべきは、入力してよい情報の範囲、ベンダーのデータ取扱い、顧問先への説明の三つです。順に見ます。

一つめは入力範囲です。Claude DesignはDOCX・PPTX・XLSXのアップロードを受け付けるので、顧問先から預かった決算書や賃金台帳をそのまま起点にできてしまいます。ただし各士業には守秘義務の規定があります。弁護士法第23条は職務上知り得た秘密を保持する権利と義務を定めています。税理士法第38条は、正当な理由がなくて税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならないと定めています。社会保険労務士法第21条、行政書士法第12条にも同趣旨の規定が置かれています。外部サービスへの入力がこれらの規定との関係でどう評価されるかは事案ごとの判断になるため、事務所としては入力してよい情報の線を先に引いておく運用が現実的です。顧問先の個人データを含む場合は、個人情報保護法第27条の第三者提供の規律も論点に入ります。

二つめはベンダーのデータ取扱いです。Anthropicはプライバシーセンターで、Team・Enterpriseプランのデータを既定ではモデルの学習に用いないと説明しています(出典: Anthropic Privacy Center Is my data used for model training?)。事務所として確認したいのは、契約しているプランがどれか、学習利用の設定が現在どうなっているか、保持期間はどうか、の三点です。個人のProプランを職員が私物端末で使っている状態は、ここの確認が効かなくなるので別途手当てが要ります。私物利用の統制については無料ChatGPTが最新モデルになった 事務所のシャドーAI規程7見直しで扱いました。

三つめは顧問先への説明です。提案資料の作成に生成AIを使ったこと自体を毎回伝えるかどうかは、事務所の方針次第です。ただ、顧問先から預かった資料をアップロードするなら、事前に伝えて了解を得ておくほうが後で揉めません。伝え方としては、契約書や業務委託の覚書にAI利用条項を置く方法と、案件ごとに口頭と記録で確認する方法があります。どちらを採るにしても、記録が残る形にしておくのが実務的です。

事務所規程に落とすなら、書く項目は絞れます。入力してよい情報の類型と、してはならない類型を列挙すること。アップロードの前に匿名化を通す工程を明記すること。共有リンクの扱い、つまり組織外に渡すときは書き出したファイルに限る旨。そして有資格者の最終確認を経ない資料を外部に出さない旨。この四つがあれば、最低限の骨格になります。規程の書き方そのものは事務所の実情に合わせて調整することになりますが、抽象的な心構えではなく工程として書くほうが守られます。

提案資料づくりで実際に起きる失敗

体裁が整った資料ほど、中身の粗さが見えにくくなります。これが最大の落とし穴です。

一つめの失敗は、裏取りの甘い数字がきれいなグラフになって外に出るケースです。手書きのメモなら要確認の赤が入るのに、整ったスライドになると通ってしまいます。回避策は、数値を載せたスライドのフッターに出典欄を固定で置き、空欄のスライドは外部に出せない扱いにすることです。プロンプト例に出典欄の指定を入れたのはこのためです。

二つめは匿名化漏れです。急ぎの案件で、顧問先から届いたエクセルをそのままアップロードしてしまう。個人が特定できる列が残ったまま外部サービスに渡ることになります。回避策は、匿名化済みのファイルを置く作業フォルダを分け、そのフォルダからしかアップロードしない運用にすることです。人の注意力ではなく置き場所で縛ります。

三つめは共有リンクの誤送信です。組織スコープの共有リンクを顧問先にメールで送り、開けないという連絡が来る。あるいは編集権限付きのリンクを職員間で回して、誰が最終版なのか分からなくなる。回避策は、外部に渡すのはPDFかPPTXの書き出しに限り、共有リンクは事務所内のレビュー用途に閉じることです。

四つめは体裁の分散です。職員がそれぞれ好みの配色でスライドを作り始め、事務所として出す資料がばらばらになる。デザインシステムを最初に一つ固定し、案件ごとに勝手に変えない運用にすると防げます。過去資料の体裁を揃える作業は、経営診断レポートのAI作成 材料集めと文章化を分ける設計で書いた材料と文章化の分離と同じ発想です。

費用と、誰が運用を持つか

費用の考え方は単純です。Claude Designの利用は各プランに含まれ、サブスクリプションの上限を消費します。上限を超えて使いたい場合は追加利用を有効にする選択肢が案内されています(出典: Anthropic Introducing Claude Design by Anthropic Labs)。つまり、資料作成のために新しいツールを別途契約するのではなく、既にClaudeを入れている事務所なら追加の固定費なしで試せます。

工数のかかりどころは初期のデザインシステム構築です。事務所案内や過去の提案書を読ませ、配色とフォントと見出しの型を決める作業は一度きりですが、ここを雑にやると以後ずっと微調整が続きます。所内で資料の体裁に一番うるさい人が担当するのが結局は速いです。

体制としては、資料の中身を持つ担当者と、体裁を持つ担当者を分けるのが扱いやすい形です。中身の担当は素材の確定と最終確認、体裁の担当はデザインシステムの維持とテンプレートの管理。この二人がいれば回ります。職員への展開は、いきなり全員に開放するより、まず一つの案件で通しでやってみて、詰まった箇所を手順書に落としてから広げるほうが定着します。研修の組み立て方は士業事務所の生成AI職員研修 職種別カリキュラムを7段階で設計するで整理しています。

2026年後半に見ておきたい論点

これから効いてくるのは、外部ツールとの接続の広がりと、AI生成物の来歴表示の二つです。

接続については、Anthropicが今後数週間でClaude Designとの連携を作りやすくすると述べており、CanvaのCEOのコメントも同発表に掲載されています(出典: Anthropic Introducing Claude Design by Anthropic Labs)。事務所が既に使っている資料管理の仕組みとつながるかどうかで、運用の手間は変わります。

もう一つが来歴です。Anthropicは新しいモデルが生成したテキストに統計的な透かしを付け、コード実行ツール経由で生成した画像・動画・音声にはC2PAのコンテンツクレデンシャルを付与すると説明しています(出典: Claude Platform Docs What’s new in Claude Fable 5.1)。提案資料のようにAIの関与が体裁に偏る成果物で、どこまでを開示するかは事務所の方針として整理しておく論点です。対外文書での扱いは新モデルのAI生成文に透かしが入る 士業が対外文書で決める7つの運用で詳しく書きました。

よくある質問

Claude Designは無料で使えますか

いいえ、有料プランの機能です。Anthropicの発表では、Claude Pro・Max・Team・Enterpriseの各プランの契約者にリサーチプレビューとして提供されると案内されています(出典: Anthropic Introducing Claude Design by Anthropic Labs)。利用枠は各プランの上限を消費します。

顧問先に共有リンクをそのまま送れますか

送っても組織外の相手は開けません。共有は組織スコープで設計されており、非公開・組織内リンク閲覧・編集権限の三段階が用意されていると説明されています(出典: Anthropic Introducing Claude Design by Anthropic Labs)。顧問先へはPDFかPPTXに書き出して渡す運用が前提になります。

顧問先から預かったファイルをアップロードしてよいですか

事務所として先に線を引く論点です。守秘義務の規定は税理士法第38条や弁護士法第23条などに置かれており、外部サービスへの入力がどう評価されるかは事案ごとの判断になります。実務としては、匿名化を通した資料だけをアップロードする運用と、顧問先の了解を記録に残す運用を組み合わせる事務所があります。

PowerPointで書き出したあとに手直しは入りますか

多くの場合は手直しが入ります。書き出しの過程でフォントの置換や改行位置のずれが起きることがあるため、書き出した実ファイルを開いて通しで確認する工程を入れておくと戻りが減ります。特に投影用と印刷用で見え方が変わる点は、事前に両方で確認しておくと戻りが減ります。

Enterpriseプランで職員が使えないのはなぜですか

既定で無効になっているためです。Anthropicは、Enterprise組織ではClaude Designが既定でオフで、管理者が組織設定から有効化すると案内しています(出典: Claude Design 管理者ガイド)。有効化の可否は事務所のAI利用方針と合わせて判断する場面になります。

入力した内容はモデルの学習に使われますか

プランによって扱いが異なります。Anthropicはプライバシーセンターで、Team・Enterpriseプランのデータを既定ではモデルの学習に用いないと説明しています(出典: Anthropic Privacy Center Is my data used for model training?)。個人契約のプランを職員が業務で使っている場合は前提が変わるため、事務所として契約形態を把握しておく論点になります。

デザインが得意な職員がいなくても運用できますか

運用できている事務所はあります。ただし体裁の基準を誰も持たないと出力がばらつくため、事務所案内や過去の提案書を読み込ませてデザインシステムを一つ固定する初期作業を、体裁にこだわりのある職員が担当する形が扱いやすいです。基準さえ決まれば、以降の操作は会話と調整つまみで済みます。

参考文献

※士業のチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴事務所の業務に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://shigyonochikara.jp/contact/

本記事の作成体制について

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。

本記事には特定の資格者による監修は入っていません。個別の事案について法令の当てはめや手続の可否を判断する必要がある場合は、当該分野の有資格者にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な法律判断・税務判断・労務判断を提供するものではありません。

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