デジタル庁は8月25日、統合アプリ「マイナアプリ」の提供を開始しました。
デジタル庁は2026年8月25日、これまで別々に提供されてきた「マイナポータルアプリ」と「デジタル認証アプリ」の機能を1つにまとめた「マイナアプリ」の提供を開始しました。マイナンバーカードを使ったログイン、署名、外部サイトとの連携、スマホ用電子証明書の設定と利用が、アプリを切り替えずに完結する形になります。士業事務所から見ると、依頼者に案内する手順と、自事務所の電子申請まわりの前提が同時に動く変更です。本記事は、デジタル庁と国税庁の公表資料および報道をもとに、公表されている範囲の事実を整理したものです。

マイナアプリで何が統合されたのか
統合されたのは、マイナポータルアプリとデジタル認証アプリという2つのアプリです。デジタル庁は7月28日の告知「マイナアプリの提供開始は、2026年8月25日を予定しています」で提供開始日を示しており、気になる、記になる…は8月25日にiOSおよびAndroid向けの提供が始まったと報じています。
変更点は大きく3つです。1つ目は、マイナンバーカードに関するログイン、署名、外部サイトとの連携、スマホ用電子証明書の設定と利用という一連の操作が、1つのアプリ内で完結する点です。ケータイ Watchはこの点を統合の中心として伝えています。
2つ目は、移行の手順です。アプリストア上のマイナポータルアプリがマイナアプリへ切り替わり、アップデートに伴って自動的に移行します。マイナポータルアプリの利用者が別のアプリを新たにダウンロードする必要はありません。デジタル認証アプリの利用者は、認証や署名の場面、あるいはアプリの起動時にマイナアプリへ誘導される形になり、デジタル認証アプリ自体は移行状況を踏まえて将来的に提供終了となる予定とされています。
3つ目は、サービス提供者側への波及です。統合時点でデジタル認証アプリサービスを利用している官民のサービスは、アプリやシステムの改修なしに「Androidスマホ用電子証明書」「iPhoneのマイナンバーカード」に対応できるとされています。利用者側では、実物のマイナンバーカードに加えてスマートフォンに搭載された電子証明書での認証・署名が可能になります。なお、マイナアプリではスマートフォンのロック設定が前提となるため、PINや顔認証、指紋認証などをあらかじめ設定しておく必要があります。
士業事務所の実務にどう効くのか
影響が読みやすいのは、電子申請を日常業務で使う税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士です。
税理士業務との接点として分かりやすいのは、e-Taxのスマホ用電子証明書対応です。国税庁は「スマホ用電子証明書に対応しました。」(掲載日:令和7年1月6日)で、令和7年1月6日からe-Taxでスマホ用電子証明書が利用可能になり、マイナンバーカードをスマートフォンで読み取らなくても申告書の作成とe-Tax送信ができるようになったと案内しています。同ページには、利用者証明用電子証明書に設定した4桁のパスワードの代わりに生体認証なども利用できること(機種によって異なる旨)、およびスマホ用電子証明書には氏名・住所・生年月日・性別やマイナンバーといった基本4情報等が搭載されていないため、これらをe-Taxへ提供する場面ではマイナンバーカードの読み取りが必要になることが併せて記載されています。この記載は令和7年1月時点のものであるため、現在の対応端末や機能範囲は国税庁とデジタル庁の最新の案内で確認する段階です。
登記や在留手続のオンライン申請でも、依頼者本人に電子署名や本人確認をしてもらう場面があります。ここで「どのアプリを開いてもらうか」の案内文が変わることになります。事務所の申請マニュアルや依頼者向けの案内メール、ウェブサイトのFAQに「マイナポータルアプリ」「デジタル認証アプリ」という名称が残っていれば、記載の見直しが必要になる範囲を洗い出す段階に入ります。登記実務の周辺論点は不動産登記のオンライン申請とAI活用の記事、在留手続については在留申請オンライン化と行政書士業務の記事でも取り上げています。
AIとの関わりでいえば、今回の統合は生成AIの機能追加ではありません。ただし、事務所が問い合わせ対応やマニュアル生成にAIツールを使っている場合、アプリ名称や手順が変わったことを反映していない古い文面をAIがそのまま再生産する可能性があります。ナレッジベースやプロンプトに埋め込んだ手順文の更新時期を、今回の提供開始日と紐づけて管理している事務所もあります。あわせて、依頼者の本人確認情報をAIツールに入力しない運用になっているかという点は、公的個人認証サービスの利用事業者と本人確認をめぐる記事でも整理しています。
今後の展望と初動で確認したいこと
今後の焦点は、デジタル認証アプリを前提に組まれていた官民サービスの案内表示が、どの程度の速さでマイナアプリ名義に置き換わるかという点です。システム改修なしで対応できるとされている一方で、画面上の文言や利用案内は各サービス提供者が個別に更新することになるため、当面はマイナポータルアプリ、デジタル認証アプリ、マイナアプリという3つの名称が混在する期間が生じ得ます。
事務所側の初動として、次のような確認を進める例があります。第1に、依頼者向け案内文とウェブサイトの記載で旧アプリ名を使っている箇所の棚卸しです。第2に、電子署名や本人確認を伴う手続について、スタッフが実機で新アプリの画面を一度通しておくことです。第3に、依頼者から「アプリが変わったが手続はできるのか」と問い合わせが来た場合の一次回答を用意しておくことです。第4に、スマートフォンのロック設定が前提となる点を踏まえ、高齢の依頼者などに対する案内の粒度を見直すことです。
いずれも制度そのものの変更ではなく、案内と運用の更新にあたる作業です。適用範囲や細かな仕様については、デジタル庁および各手続の所管官庁が公表する最新の案内を確認することになります。
まとめ
デジタル庁は2026年8月25日にマイナアプリの提供を開始し、マイナポータルアプリとデジタル認証アプリの機能が1つに統合されました(出典: 気になる、記になる…)。士業事務所への影響は、制度改正というより、依頼者向け案内文と電子申請手順の更新という実務作業に現れます。旧アプリ名の残る文書の棚卸しと、実機での画面確認から着手する事務所が出てくると見られます。
参考文献
- デジタル庁 マイナアプリ
- デジタル庁 マイナアプリの提供開始は、2026年8月25日を予定しています
- デジタル庁 デジタル認証アプリの機能は、2026年8月25日からマイナアプリでご利用いただける予定です
- デジタル庁 マイナポータルアプリは2026年8月25日よりマイナアプリにアップデート予定です
- 国税庁 e-Tax スマホ用電子証明書に対応しました。
- ケータイ Watch デジタル庁、新「マイナアプリ」提供開始は8月25日を予定
- 気になる、記になる… デジタル庁、マイナアプリを提供開始
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引用元: デジタル庁
本記事の作成体制について
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。
本記事には特定の資格者による監修は入っていません。個別の事案について法令の当てはめや手続の可否を判断する必要がある場合は、当該分野の有資格者にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な法律判断・税務判断・労務判断を提供するものではありません。
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