OpenAIは9月11日、Astra向けに指示を減らす見直しを提案しました。
OpenAIの開発者向けブログが2026年9月11日、GPT-6 Astra を使うなら、これまで積み上げてきた指示を見直したほうがよいという趣旨の記事を公開しました。書き手は同社の Eric Provencher です。モデルが賢くなるほど、細かく手順を書いた指示書が助けではなく足かせに変わるという指摘で、この1年でプロンプトやチェックリストをためこんできた組織ほど効いてきます。生成AIを日常業務に入れている士業事務所も、定型プロンプトや事務所内の利用手順書という形で、同じ性質の資産を抱えています。本記事は公表資料に基づく事実の整理であり、法令の解釈や個別事案の当てはめは扱いません。

見直し対象はスキル説明文、AGENTS.md、完了条件の3か所
記事が挙げた見直し対象は、スキルの説明文、AGENTS.md、そして依頼文に書く完了条件の3か所です。Provencher は冒頭で、性能の高いモデルでは以前ほどの手取り足取りと足場組みが要らなくなった、と書いています。
スキルはMarkdownで保存したプロンプトで、資料やスクリプトを同梱できる仕組みです。名前と説明文がモデルのコンテキストに読み込まれ、それを手がかりに使うスキルが選ばれます。ところがスキルを増やしすぎるとCodex側が説明文を切り詰めるため、モデルが見る情報が減って選択を誤りやすくなります。説明文どうしが矛盾していたり、適用範囲を広く書きすぎていたりすると、その作業に要らない指示まで読み込まれます。記事はPostgresのスキーマ移行を例に、「データベースやクエリを扱うとき」という広い書き方ではなく「移行を追加・変更するとき、その展開をレビューするとき」と絞る形を挙げました。複数の作業が混ざるスキルは、根本の文書を案内役に徹させ、要る資料だけを読ませる作りが推奨されています。
AGENTS.mdについては、毎回の編集前に設計資料一式を読ませる指定は誤字修正には過剰だとしています。用途ごとに参照先を指し示す形へ書き換える例が示されました。テストの扱いも同様で、以前のモデルには実行を促す一言が効きましたが、Astraは自分から確認するため、同じ指示が余計なテストを生むという整理です。
「指示を足す」から「指示を削る」への転換
この記事が示したのは、エージェントを御するために指示を足していく従来の定石を、いったん逆向きに点検するという発想です。コンテキストの長さは有限で、読ませた分だけ圧縮の境目に近づきます。指示は無料ではない、という前提が表に出てきました。
境界線の書き方についても踏み込んでいます。Astraは同社が最もアライメントされたモデルと位置づける存在で、安全だと判断できないことは実行しないため、以前のモデル向けに強めた制限の言い回しをそのまま残すと、続けてほしい場面でも止まってしまうというのです。継続性の面でも、GPT-5.6 Sol が長く走り続けたのに対し、Astraは最初の実装で一度戻ってくる傾向があるとされ、着手前に「完了」を定義しておく運用が挙げられました。リポジトリに置いたスキルは他の担当者のエージェントにも効くため、SolやLunaを助ける記述がAstraを縛りうる点にも注意が向けられています。この件はThe Decoderも同じ趣旨で報じました。
データの取り扱いには今回のブログは触れていません。OpenAIは別途、APIに送られたデータについて2023年3月1日以降は明示的にオプトインしない限り自社モデルの学習や改善には使わないとデータ取扱いのガイドに記載しており、不正利用監視のログは既定で最大30日保持され、保持を抑える選択肢としてModified Abuse MonitoringとZero Data Retentionが用意されていると説明しています。事務所が使う契約形態でどれが適用されるかは、提供元の資料で個別に読む領域です。
士業事務所のプロンプト資産にとっての3つの論点
第一に、定型プロンプトの棚卸しがモデル更新時の作業項目になります。事務所が作った「この順で確認する」型の手順書は、書いた時点のモデルを前提にしています。モデルの世代交代のたびに前提を確かめる進め方は、提供終了に伴うプロンプト資産の再検証や事務所のAIツール棚卸しと地続きの話です。
第二に、「止まる」ことを意図して置いた指示は、性能を理由に緩める対象と切り分けて考える余地があります。ベンダーが挙げているのは開発作業の効率を落とす過剰な制限ですが、士業事務所の手順書には、守秘義務や本人確認、依頼者への確認のために意図的に人間へ戻す関門が混ざっています。両者を同じ「古い制限」として一括で外すのか、残す関門を先に洗い出すのかは、事務所ごとの判断が分かれるところです。スキルとツールの選定を進めている事務所では、この仕分けを規程側の作業として扱う例があります。
第三に、完了の定義を依頼文に書く運用です。下書きまでで戻すのか、引用元の照合まで走らせるのか、参照した条文の原典確認まで含めるのか。成果物のどこまでを機械に任せ、どこから人が見るかを最初の一文に書いておくと、途中で止まったか止められたかの区別がつきます。モデルごとの使い分けやAstra向けのプロンプト指針と合わせて、事務所の運用文書に落とし込む段階にあります。
まとめ
OpenAIは2026年9月11日、GPT-6 Astra向けにスキル説明文とAGENTS.md、完了条件の見直しを提案しました。指示を足すほど良くなるという前提が崩れ、削る作業が管理項目に変わります。士業事務所にとっては、定型プロンプトの棚卸し、意図して置いた関門の仕分け、完了の定義という3点が検討材料になります。
参考文献
- OpenAI Developers|Rethinking skills and prompts for GPT-6 Astra
- OpenAI Developers|AGENTS.md
- OpenAI Developers|Skills & Plugins
- OpenAI|Your data(データの保持と利用)
- The Decoder|GPT-6 Astra needs leaner prompts and fewer guardrails, OpenAI recommends
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引用元: OpenAI Developers
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