総務省は2026年11月4日、利用者情報WGの第2次報告書と意見募集の結果を公表しました。
総務省は2026年11月4日、利用者情報ワーキンググループの第2次報告書(利用者情報に係る外部送信規律の遵守に係る方策)と、報告書案への意見募集の結果を公表しました。意見募集は2026年8月20日から9月18日まで行われ、24件の意見が提出されています(出典: 総務省 報道資料)。本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で確認しています。事務所のウェブサイトやお問い合わせフォームの運用に関わる話題として、公表内容を整理します。
何が公表されたか:遵守率43.2%と「手引き」の策定
外部送信規律とは、ウェブサイトやアプリが利用者の端末から利用者に関する情報を外部の事業者へ送る際に、送信する情報の内容や送信先などを利用者に通知したり、利用者が容易に知り得る状態に置いたりする仕組みです。根拠は電気通信事業法にあり、電気通信事業法第27条の12は「情報送信指令通信に係る通知等」を見出しとして、通知または容易に知り得る状態に置く旨を定めています。同条の対象は、利用者の利益に及ぼす影響が少なくないものとして総務省令で定める電気通信役務を提供する者に限られています。
第2次報告書の概要資料によると、総務省が遵守状況を調査したところ、アプリによるサービス提供がないウェブサイトの遵守率は43.2%でした。この結果を受けて、ウェブサイトについても遵守を確保する必要があると整理されています(出典: 別紙2 第2次報告書の概要)。
方策の中心は「手引き」の策定です。対応策は従来のSPSI(スマートフォン・プライバシー・セキュリティ・イニシアティブ)とは別立てとし、法令遵守事項とベストプラクティスを分かりやすく解説した手引きを作る方針が示されました。手引きでは、通知・公表に使える雛形として、外部送信する利用者情報、利用目的、送信先を含める形が示されています(出典: 別紙2)。
ベストプラクティスと利用者啓発の中身
報告書は、利用者が外部送信の仕組みを十分に理解していないことを前提に、利用者が理解できる状態をゴールに据えています。法令遵守を求めたうえで、より望ましい対応をベストプラクティスとして実践するよう促す二段構えです。ベストプラクティスとしては、同意取得やオプトアウト手段の提供など、利用者が関与できる機会を設けることが挙げられています。外部送信規律の適用外となるウェブサイトにも、自主的な取組を求める方向です。
あわせて、遵守状況を定期的に調査して公表すること、業界団体やサードパーティ事業者と連携することが盛り込まれました。利用者向けには、情報収集の仕組みや行動ターゲティング広告の仕組みを、動画など分かりやすい形式で周知するとされています。一方で、概要資料には手引きの公表時期や定期調査の周期は記載されていません。これらは報告書本体で確認が必要な点で、現時点では要確認です。
中長期の課題としては、外部送信規律の適用対象の見直し、利用者関与機会の強化、今後の技術革新を踏まえた検討の3点が挙げられています。背景として、サードパーティCookieに代わるトラッキング手法やAIの活用といった技術動向、米国のオプトアウト措置強化やEUのCookie同意規制の見直しといった海外動向も踏まえたとされています。
士業事務所にとっての論点
士業事務所は、自所のウェブサイトにアクセス解析、広告タグ、動画埋め込み、チャットや予約フォームの外部サービスを組み込んでいることが少なくありません。これらは利用者の端末から外部の事業者へ情報が送信される仕組みを伴う場合があります。ただし、同条の対象は総務省令で定める電気通信役務を提供する者に限られており、個別の事務所のサイトが対象になるかどうかは、省令の定めと自所のサイトの実態を照らして確認する段階です。当てはめの判断は本記事では行いません。
職種を問わず、事務所の現場で確認の起点になりうるのは次の点です。自所のサイトにどの外部サービスのタグが入っているか、各タグがどんな情報をどこへ送っているか、プライバシーポリシーや通知の記載とその実態が一致しているか。手引きの雛形が示された際に、こうした棚卸しの結果と見比べるという進め方を採る事務所があります。
守秘義務との関係にも触れておきます。お問い合わせフォームに相談内容が入力される場合、入力内容や閲覧履歴がアクセス解析や広告の仕組みを通じて外部に出る経路がないかは、顧問先や相談者の秘密を扱う事務所にとって確認価値の高い論点です。生成AIチャットを組み込む場合も、入力データが事業者側でどう扱われるかを、ベンダーの公表資料で確認する段階です。公表資料から確認できない点は「要確認」として扱うのが安全側です。
今後の展望と初動で見ておきたい点
当面は、手引きの周知を通じて法令遵守とベストプラクティスの実践に速やかに取り組むと整理されています。手引きの公表を待つ間にできる動きとして、次のような対応を採る事務所があります。
- 自所サイトの外部送信の棚卸し(タグ、埋め込み、フォーム連携の一覧化)
- 通知や公表の記載と実態の突き合わせ
- 総務省の別紙1(報告書)と別紙3(提出意見と総務省の考え方)の確認
提出意見への総務省の考え方は別紙3にまとまっており、論点がどう整理されたかを確認する材料になります。
まとめ
総務省は2026年11月4日、利用者情報WGの第2次報告書を公表しました。ウェブサイトの遵守率43.2%という調査結果を受け、法令遵守とベストプラクティスを解説する手引きの策定、定期調査、利用者啓発が柱です。事務所のサイトが対象かどうかは個別の確認が必要で、まずは外部送信の実態把握から始める段階です。手引きの公表時期は現時点で要確認です。
参考文献
- 総務省 報道資料: 利用者情報WG第2次報告書(案)についての意見募集の結果の公表
- 総務省 別紙1: 第2次報告書
- 総務省 別紙2: 第2次報告書の概要
- 総務省 別紙3: 提出意見と総務省の考え方
- e-Gov法令検索 電気通信事業法
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引用元: 総務省
本記事の作成体制について
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。
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