新聞2社がOpenAIとMicrosoftを提訴、AI学習めぐる争点3つ

シアトル・タイムズとニューズデイがOpenAIとMicrosoftを提訴。AI学習データの破棄請求まで踏み込んだ訴状の中身と、士業事務所が押さえる3つの論点を整理します。

新聞2社がOpenAIとMicrosoftを提訴、AI学習めぐる争点3つ

米新聞2社が2026年9月4日、OpenAIとMicrosoftを著作権侵害で提訴しました。

米国のシアトル・タイムズとニューズデイが2026年9月4日、ニューヨーク州南部連邦地方裁判所にOpenAIとMicrosoftを相手取った訴えを起こしました。自社の記事がChatGPTやCopilotの学習に無断で使われたという主張です。生成AIの学習データをめぐる訴訟は2023年のニューヨーク・タイムズ提訴以降も途切れず、地方紙・地域紙にまで広がった形になります。本記事は公表された事実と一次資料の記載を整理したもので、法的評価を示すものではありません。

何が起きたか、訴状に書かれた主張

今回の提訴は、報道コンテンツがAIの学習素材として無断利用されたとする著作権・商標の複合的な訴えです。TechCrunchが伝えたところによると、訴状は生成AIを「自らの尾を食う蛇」と表現し、学習元となったコンテンツを生み出す組織そのものを壊しかねないと述べています。訴状はまた、AI製品が「コンテンツの生産者と喧伝されているが、実際には貪欲な消費者である」とも記しています。

原告2社が求めている救済も踏み込んだ内容です。損害賠償に加え、自社の著作物の複製物と、それを取り込んだ学習用データセットまたはAIモデルの破棄を求めていると報じられています。金銭解決ではなく、学習済みモデルそのものの処分を請求に含めている点が、この種の訴訟で繰り返し登場する構図です。

もう一つ注目されているのが、当事者間の関係です。TechCrunchは、MicrosoftとOpenAIがシアトル・タイムズのジャーナリズム関連の企画やフェローシップに資金を提供してきた経緯に触れ、今回の提訴が特に目を引くと指摘しています。Microsoftの広報担当者はGeekWireに対し、提訴に驚いているとしつつ、この種の紛争の解決策を話し合うことにはいつでも応じる姿勢を示したと伝えられています。

士業事務所にとっての論点

この件が士業実務に接するのは、主に3つの局面です。いずれも結論が出ている話ではなく、現在進行中の争点として押さえておく段階にあります。

第一に、AI学習と著作物の関係について、米国内でも立場が割れたまま推移していることです。米司法省は2026年9月、AI学習と著作物をめぐる論点でOpenAI側を支持する意見を示したと報じられており、行政の姿勢と権利者側の主張が並走しています。この経緯は米司法省の立場をまとめた記事で整理しています。今回の提訴は、その並走状態が当事者を増やしながら続いていることを示すものです。

第二に、和解が成立した後の分配や請求の設計にも実務論点が生じている点です。Anthropicの和解をめぐっては、出版社や著作権エージェントが取り分を主張し、著者側が反発する展開になりました。この経緯はAnthropic和解15億ドル、出版社の過大請求に著者が反発した3論点にまとめています。訴訟の勝敗だけでなく、その先の権利処理まで含めて見ておく必要が出てきています。

第三に、事務所自身が生成AIを使う側として、入力データの扱いを確認する必要が続いていることです。今回の訴訟が争っているのは学習データの取得と利用であり、事務所が業務で入力する顧客情報の取扱いとは別の論点ですが、ベンダーが何をどう学習に使うかという関心の所在は共通しています。導入検討では各ベンダーの学習利用に関する公表方針を都度確認する運用が現実的です。日本国内での著作権上の位置づけについては、生成AIと著作権、士業事務所の成果物で押さえる責任範囲で基本的な考え方を整理しています。

なお、日本法における生成AIと著作権の関係は米国の裁判の結論とは別枠の議論であり、今回の訴訟の帰趨がそのまま国内の解釈に置き換わるわけではありません。日本での取扱いは所管官庁の公表資料と個別の事案に即した検討が必要です。

今後の動き

当面の焦点は3つに絞られます。1つ目は、先行するニューヨーク・タイムズの訴訟がどこまで進み、どのような判断枠組みが示されるかです。2つ目は、原告が求めているモデルやデータセットの破棄という救済が、どの範囲で認められうるのかという点です。3つ目は、Microsoftが示唆した話し合いによる解決が、他の報道機関との包括的なライセンス契約に発展するかどうかです。

地方紙・地域紙という規模の報道機関が原告に加わったことで、訴訟の裾野は広がりました。士業事務所としては、判決や和解の内容そのものよりも、それが日本のクライアント企業のAI利用方針にどう波及するかを見ておく局面が続きます。

まとめ

シアトル・タイムズとニューズデイが、記事のAI学習利用をめぐりOpenAIとMicrosoftを提訴しました。損害賠償に加えて学習データやモデルの破棄まで求めている点、資金提供の関係があった相手を訴えた点が特徴です。米国内の行政・司法の判断はまだ収束しておらず、日本での取扱いは別途の検討が必要な段階にあります。

参考文献

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引用元: TechCrunch

本記事の作成体制について

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。

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