日本公認会計士協会は2026年10月21日、倫理宣言の更新版を公開しました。
日本公認会計士協会(JICPA)は、「倫理宣言」の更新版及び協会会長からのメッセージ動画の公開についてを2026年10月21日付で公表しました。2026年7月22日の第60回定期総会で承認された倫理規則の改正に合わせて宣言の文言を整え、あわせて「客観性」の記述を改めたことが案内されています。本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。注目点は、客観性の説明に、AIを含む技術に過度に依存せず自らの責任で判断するという趣旨が入ったことです。会計士に限らず、AIを業務に取り入れつつある士業事務所が、自らの判断の置き方を考える材料として整理します。
何が公表されたか、倫理宣言の更新と会長メッセージ動画
公表の中心は、倫理宣言の更新版です。協会の案内ページによると、今回の更新は、第60回定期総会で承認された倫理規則の改正内容に、宣言の文言を合わせるためのものです。そのうえで、宣言のなかの「客観性」についての記述が改められました。
改められた記述の趣旨は、会員が職業上や業務上の判断を、AIを含む技術に過度に依存することなく、客観的かつ自らの責任において行うというものです。案内ページの原文を要約した表現であり、宣言の正確な文言は協会が掲載しているPDFで確認する段階です。
同じ案内では、協会会長からのメッセージ動画も公開されています。動画の公開は、宣言の更新と同じ日付での案内です。英訳版の倫理宣言と、PC・スマートフォン向けの壁紙も更新されました。会員に対しては、ファイルをダウンロードして倫理規則の精神と原則を守る意思を新たにするよう呼びかける内容になっています。案内ページには、事務局の常務理事名義のカバーレターと、日本語版・英訳版の宣言がPDFで掲載されています。
士業事務所にとっての論点、倫理規則の改正との位置づけ
背景として押さえておきたいのは、倫理規則そのものの改正です。協会の職業倫理に関する取組のページには、倫理規則が2026年7月22日に改正され、2027年4月1日以降に適用されると掲載されています。ただし、各規定の適用日は改正の附則で確認するよう注記されており、すべての規定が同じ日に動くとは限りません。実務ガイダンス第1号のQ&Aも、2026年7月15日付で改正されています。
倫理規則の改正内容は、協会が2026年7月30日に出した定期総会承認の案内で確認できます。この案内は、サステナビリティ及び外部の専門家の作業の利用等に関する改正を扱った2026年4月30日付の案内を受けたもので、承認までに加えられた変更として、金融商品取引法等の改正に伴う参照条項等の修正や、文言の整理が挙げられています。今回の宣言の更新は、これらの改正を踏まえた「会員の決意表明」の側のアップデートだと位置づけられます。なお、宣言の客観性の記述がどの規則条項と対応するのかは、公表資料の範囲では確認できていません。
職種でいえば、直接の対象は公認会計士です。一方で、税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士、弁護士などの事務所でも、生成AIで書類の下書きや調査をする場面は増えています。他の士業団体が同様の文言を出したという公表は、今回確認した範囲ではありません。ただ、会計の専門職の団体が、AIを含む技術への依存を客観性の文脈で言葉にしたことは、他の資格の事務所にとっても、判断の責任をどこに置くかを考える一つの参照点になります。
今後の展望と初動、宣言の文言と適用日を確認する
当面の焦点は二つあります。一つは、協会が掲載する倫理宣言の日本語版PDFで、客観性の記述が実際にどのような言い回しになっているかを確認することです。もう一つは、倫理規則の各規定の適用日です。2027年4月1日以降とされていますが、附則で規定ごとに定められているため、事務所の業務に近い規定から順に確認する段階です。
事務所の側の初動としては、次のような進め方を採る事務所があります。
- 協会の案内ページから宣言PDFを取得し、AIに関する記述の原文を確認する
- 自事務所のAI利用ルールのなかで、最終判断と成果物の責任の所在がどう書かれているかを読み直す
- 倫理規則の改正概要と附則を開き、適用日を所内の予定表に載せておく
これらは「こうすべき」という趣旨ではなく、公表資料を踏まえて検討を始める事務所の例です。
AIの利用にあたっては、入力するデータの扱いも論点になります。顧問先の情報や個人情報を、利用するAIサービスがどう取り扱うのかは、サービスごとの公式な利用規約やデータ取扱いの説明で確認する必要があります。今回の協会の案内は倫理宣言の更新を伝えるもので、特定のAIサービスのデータ取扱いには触れていません。事務所のAI利用規程の考え方については、当サイトの生成AIと守秘義務の関係で別途整理しています。
まとめ
日本公認会計士協会は2026年10月21日、第60回定期総会で承認された倫理規則の改正に合わせた倫理宣言の更新版を公開しました。客観性の記述には、AIを含む技術に過度に依存せず、自らの責任で判断するという趣旨が盛り込まれています(出典: 日本公認会計士協会 案内ページ)。倫理規則の適用日は附則で規定ごとに確認する段階で、宣言の正確な文言は掲載PDFで読むことになります。AIを使う士業事務所にとっては、判断の責任の置き方を見直すきっかけになる公表です。
参考文献
- 日本公認会計士協会「「倫理宣言」の更新版及び協会会長からのメッセージ動画の公開について」
- 日本公認会計士協会「職業倫理に関する取組」
- 日本公認会計士協会「「倫理規則」の定期総会承認について」
- 士業のチカラ「生成AIと守秘義務の関係」
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引用元: 日本公認会計士協会
本記事の作成体制について
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。
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