デジタル庁は2026年9月30日、令和8年熊本地震への対応状況を公表しました。
デジタル庁は2026年9月30日、令和8年熊本地震に関する対応状況について(9月30日)を公表しました。災害派遣デジタル支援チーム(D-CERT)の活動実績、ガバメントAI「源内」の提供実績、マイナポータルを使った罹災証明書のオンライン申請件数などがまとめられています。本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。行政の見解は各府省庁の公表資料で確認しており、法令の解釈や当てはめには踏み込みません。行政がAIを災害対応の現場でどう使い、どのような数字が出たのかを、士業事務所の情報収集の材料として整理します。
何が公表されたか:体制、D-CERT派遣、システム稼働の状況
公表資料によると、デジタル庁は令和8年(2026年)7月28日18時20分に「デジタル庁災害対策本部」を設置しました。同庁が管轄する政府情報システムについては、8月4日9時00分に正常稼働が確認されたと記載されています(出典:デジタル庁 対応状況(9月30日))。
D-CERTは7月29日から9月15日まで派遣されました。派遣実績は延べ253人日で、内訳はデジタル庁職員が223人日(30名)、民間事業者が30人日(8名)です。活動内容としては、新物資システム(B-PLo)の入力効率化ツールの提案と、防衛省借上民間船舶「はくおうⅡ」の宿泊者向け一時下船受付専用アプリの開発・運用が挙げられています。このアプリは8月30日から乗下船時の受付手続で使われ始めました。9月16日以降は、オンライン等を通じた支援が続いています(出典:同上)。
ガバメントAI源内の緊急提供、その実績と提供条件
今回の資料で特に目を引くのは、ガバメントAI「源内」の提供実績です。源内は政府職員向けのAI環境で、熊本地震への対応として、熊本地震の被災自治体等へ、ガバメントAI 源内を緊急提供しますという発表のもと、2026年7月29日から9月30日までの期間で臨時提供されました。一部の自治体については、令和8年度末まで再延長する予定とされています。
提供された機能は、災害対応業務AIアプリ16件(緊急開発分3件を含む)、災害対応向けのユースケース集・プロンプト集80件、チャット機能、AIエージェント利用環境「エージェントチャット」です。チャット機能で使えるモデルとして、資料はClaude Opus 4.8、Claude Sonnet 4.6、Claude Haiku 4.5、Nova Liteの名を挙げています。アプリの例としては、B-PLo物資検索アプリ、物資申告正規化アプリ、D24H(災害時保健医療福祉活動支援システム)のダッシュボード化アプリが記載されています。
9月30日時点の提供実績は、登録アカウントが全国で325個(148機関・団体)、実行回数が1,305回(83機関・団体)です。内訳はチャットが1,096回、AIアプリが209回、AIエージェントが71セッション(541ターン)となっています。熊本県内に限ると、登録アカウントは112個(7機関・団体)、実行回数は711回でした。利用者は都道府県12、市73、町28、村2、特別区3、国の政府機関19、法人11の機関・団体です(出典:デジタル庁 対応状況(9月30日))。
士業事務所にとっての論点:データの扱いと罹災証明書の申請動向
生成AIの利用では、入力したデータが学習に使われるかどうかが導入判断の分かれ目になります。緊急提供の発表資料には、データの学習利用に関する記載はありません。一方で「利用者のデータストレージ機能、データ共有・交換機能の提供はありません」と明記されています(出典:デジタル庁 緊急提供の発表)。学習利用の扱いは公表資料からは確認できません。また、この提供は関係自治体等向けの臨時のもので、災害対応と関係のない用途での利用は控えるよう求められています。士業事務所が同じ環境を使えるという内容ではない点に注意が必要です。
もう一つの数字が罹災証明書です。マイナポータルおよび各自治体システムを活用したオンライン申請の案内が始まり、7月28日から9月29日までの累計で6,426件の申請があったと公表されています(出典:デジタル庁 対応状況(9月30日))。罹災証明書は被災後の各種手続で提出を求められる場面がある書類です。被災地の顧問先や依頼者を持つ税理士、行政書士、社会保険労務士、司法書士などの事務所では、オンライン申請の動向を把握しておく意味があります。個別の手続への影響は、各制度の所管機関の案内で確認する段階です。
今後の動きと確認したい点
源内の緊急提供は9月30日で終了し、一部自治体は年度末までの再延長対応に入ります。今後は、災害対応で生まれたアプリやプロンプト集が、平時の行政実務にどう引き継がれるかが注目点です。事務所側では、次のような確認を進める段階といえます。
- デジタル庁の公表ページで、今後の更新や再延長の対象自治体の案内を確認する
- 被災地の依頼者がいる場合、罹災証明書のオンライン申請の案内を各自治体の公表資料で確認する
- 事務所のAI利用ルールで、行政が公開したプロンプト集や利用事例をどう参照するかを整理する
まとめ
デジタル庁は熊本地震への対応状況として、D-CERTの延べ253人日の派遣、源内の325アカウント・1,305回の利用、罹災証明書のオンライン申請6,426件を公表しました。行政の現場で生成AIが実際に使われた規模が数字で示された点が重要です。データの学習利用に関する記載は資料に見当たらないため、事務所での利用判断には別途、各サービスの公式ポリシーの確認が要ります。
参考文献
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引用元: デジタル庁
本記事の作成体制について
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。
本記事には特定の資格者による監修は入っていません。個別の事案について法令の当てはめや手続の可否を判断する必要がある場合は、当該分野の有資格者にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な法律判断・税務判断・労務判断を提供するものではありません。
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