アナログ規制8,162件の99%が完了|士業の手続が変わる3論点

デジタル庁が2026年8月17日に公表したアナログ規制フォローアップ結果を解説します。12,205件のうち見直しが必要な8,162件の約99%が完了。往訪閲覧や対面講習など士業事務所の手続業務に関わる3論点を整理します。

アナログ規制8,162件の99%が完了|士業の手続が変わる3論点

デジタル庁がアナログ規制見直しの進捗結果を公表しました。

デジタル庁は2026年8月17日、アナログ規制見直しの取組のページを更新し、工程表と通知・通達等の見直し方針についてのフォローアップ結果を公表しました。公表資料によると、アナログ規制に当てはまる条項等は法令と告示通達を合わせて12,205件あり、そのうち見直しが必要とされた8,162件の約99パーセントにあたる8,133件が、2026年5月末時点で見直しを終えたと整理されています。士業事務所の実務でいえば、役所への往訪、対面での講習、書面の掲示といった動作が制度側から順に外れていく局面に入ったということです。本記事は公表資料の内容を伝えるもので、個別の手続への当てはめは扱いません。

デジタル庁が公表した数字は何を示しているか

結論から書くと、今回の公表は「残りがあと29件」という段階に来たことを示す進捗報告です。フォローアップ結果の資料では、法令・告示通達の合計12,205件のうち4,043件は見直しが不要と判断され、必要とされた8,162件のうち8,133件が2026年5月末時点で完了し、2026年6月以降に完了予定として残るのは29件と示されています(出典: デジタル庁「アナログ規制に係る工程表及び通知・通達の見直し方針のフォローアップ結果」2026年8月17日公表)。

規制の分類別に見ると、件数が大きいのは目視の3,546件、FD等の記録媒体を指定するものの2,095件、往訪閲覧・縦覧の1,748件、定期検査・点検の1,495件、常駐・専任の1,371件です。このうち見直しが必要とされた数は、目視が1,998件、往訪閲覧・縦覧が1,291件、定期検査・点検が1,173件、FD等が1,034件、常駐・専任が1,020件で、対面講習は597件、書面掲示は865件でした。残り29件の内訳は、定期検査・点検の10件、往訪閲覧・縦覧の9件、書面掲示の6件、その他経済界要望の3件、目視の1件です(出典: デジタル庁「アナログ規制に係る工程表及び通知・通達の見直し方針のフォローアップ結果」2026年8月17日公表)。

法令等だけを取り出すと9,671件中6,406件が見直しを要し、そのうち6,377件が完了しています。一方、告示・通知通達は2,534件中1,756件が見直しを要し、その全件が完了したと記載されています(出典: デジタル庁 同フォローアップ結果、2026年8月17日公表)。通達レベルのアナログ運用が先に片付き、法令側に少数の宿題が残っているという構図です。

士業事務所にとっての3つの論点

第一に、往訪閲覧・縦覧の1,291件です。役所に足を運んで台帳や図面を閲覧する動作は、行政書士や司法書士の受任業務でしばしば発生します。デジタル庁の技術カタログでは、往訪閲覧・縦覧のデジタル化を実現する製品として、本人認証機能、のぞき見防止機能、複写抑止機能、紙媒体を電子媒体に変換するOCR機能などを備えた技術が想定分野として整理されています。移動時間の見積もりが変われば、報酬設計の前提も変わります。関連する動きは商業登記のリモート署名と司法書士実務でも取り上げました。

第二に、対面講習の597件と書面掲示の865件です(出典: デジタル庁 同フォローアップ結果)。法定講習のオンライン化や、掲示物の電子化が進む分類にあたります。技術カタログでは、講習・試験のデジタル化としてオンライン会議システムや、修了証発行の電子署名対応が想定技術として挙げられています。事務所側の実務では、受講記録や修了証の保管形式が紙から電子に移る際に、保存ルールを決め直す作業が発生します。

第三に、常駐・専任の1,020件です。人が現場にいることを前提とした要件が見直された分類で、許認可の要件確認を扱う事務所にとっては、確認すべき条文と運用通達の版が入れ替わっている可能性があるということです。改正が続く分野の報酬設計については改正行政書士法19条と報酬・AI書類作成の論点も合わせてご覧ください。

なお、個々の手続がどの分類に整理され、いつからどう変わるかは、規制を所管する府省庁が示す改正内容と施行日で確認する必要があります。ここは資格者の判断領域なので、本記事では踏み込みません。

AI活用の観点から見た技術カタログの位置づけ

士業のチカラの読者にとって見逃せないのは、デジタル庁の技術カタログがAIを明示的に想定技術として書いている点です。目視等による施工・経年劣化・安全措置対策状況等確認のデジタル化では「取得データをAI等で分析・判断可能な技術」、見張りのデジタル化では「取得データをAI等で識別・検知し、遠隔地の管理者等へ通知可能な技術」、広域な利用状況把握では「取得データをAI等で分析・判断可能な技術」がそれぞれ想定分野として記載されています。規制対応の文脈でAIが公的資料に位置づけられた形です。

同時に、テクノロジーマップポータルのコンテンツ利用上の注意には、掲載情報は掲載技術に関する証明や認証、適法性その他の技術上・法令上の裏付けを伴うものではないこと、掲載技術の利用は個々の活用場面や条件を踏まえて技術利用者の判断と責任において行われることが明記されています。カタログに載っていることと、事務所が導入して問題がないこととは別の話だという整理です。ツール選定の資料として使う際は、この前提を押さえておく必要があります。利用規約は2026年2月16日に改訂されています。

守秘義務との関係でいえば、遠隔閲覧やオンライン講習に切り替わることで、依頼者情報が事務所の外部システムを通過する経路が増えます。どのデータがどこに保存され、ベンダーがそれを学習に使うかどうかは、公表資料からは個別に確認できません。導入前に各ベンダーのポリシーページで確認する段階です。

今後の動き

残る29件がいつ完了するかは、今回の資料では「2026年6月以降完了予定」とだけ示されており、個別の期日は記載されていません。デジタル庁はアナログ規制の見直し状況に関するダッシュボードも公開しているため、進捗はここで追える形になっています。

行政手続そのもののオンライン化については、2026年7月17日に令和7年度末時点の行政手続のデジタル完結に向けた工程表のフォローアップが公表されています。アナログ規制の一掃と手続のデジタル完結は別の工程表で走っているため、士業事務所としては両方を見ておく必要があります。本人訴訟支援など手続の電子化が絡む領域は司法書士の本人訴訟支援とMINTSの実務でも扱っています。

まとめ

デジタル庁が2026年8月17日に公表したフォローアップ結果では、アナログ規制12,205件のうち見直しが必要な8,162件について、約99パーセントにあたる8,133件が2026年5月末時点で完了したと示されました(出典: デジタル庁 同フォローアップ結果)。往訪閲覧・縦覧、対面講習、常駐・専任といった分類は士業の受任業務と接する部分が大きく、技術カタログではAIを含む技術が想定分野として整理されています。ただしカタログ掲載は適法性の裏付けではないと明記されており、導入判断は事務所側の検討事項として残ります。

参考文献

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引用元: デジタル庁

本記事の作成体制について

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。

本記事には特定の資格者による監修は入っていません。個別の事案について法令の当てはめや手続の可否を判断する必要がある場合は、当該分野の有資格者にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な法律判断・税務判断・労務判断を提供するものではありません。

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