丸善リサーチのAI検索が2026年9月1日に開始 税務リサーチで出典と原典確認を組み込む7手順

丸善リサーチが2026年9月1日に始めたAI検索(専門書のみ・出典付き)を材料に、税理士・会計事務所が税務リサーチへ組み込む7つの手順を、守秘義務とあわせて整理します。

丸善リサーチのAI検索が2026年9月1日に開始 税務リサーチで出典と原典確認を組み込む7手順

出典付きAI検索とは、回答の根拠となる文献を示しながら答える検索のことです。

会計・税務書籍の閲覧サービスである丸善リサーチが、2026年9月1日にAI検索機能の提供を開始しました。情報源は丸善リサーチの収録コンテンツに限られ、基本の利用は月3回まで、AI検索Plusは月額1,500円(税抜)と説明されています(出典:PR TIMES 丸善リサーチ AI検索機能の提供開始)。本記事では、このサービスを材料に、税理士事務所や会計事務所が税務リサーチに出典付きAI検索を組み込む際の手順を7つに整理します。本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、サービスの内容は提供元の公開資料で確認しています。特定のサービスの優劣や、導入の是非の評価は行いません。

発表内容から確認できること

まず、公表されている事実を整理します。プレスリリースによると、AI検索機能は、キーワードではなく自然な質問文で入力できる点が特徴です。情報源は丸善リサーチの収録コンテンツに限られ、一般のインターネット上の情報ではなく、専門書にさかのぼれる形で回答が示されると説明されています(出典:PR TIMES 丸善リサーチ AI検索機能の提供開始)。

料金は、基本の利用が月3回まで、AI検索Plusが月額1,500円(税抜)です。提供開始の記念として、既存の利用者と2026年9月に加入した利用者には、2026年9月30日まで月20回の利用枠が示されていました。サービスは、丸善リサーチサービスとLegal Technologyが共同で運営していると記載されています(出典:PR TIMES 丸善リサーチ AI検索機能の提供開始)。

注意事項として、リリースには、AIが生成した文章はリサーチを支援するための参考資料であり、利用の際は出典の専門書の内容を確認するよう書かれています。生成AIには誤った情報を生成するリスクがあることも、サービスの背景として触れられています(出典:PR TIMES 丸善リサーチ AI検索機能の提供開始)。

サービスの紹介ページでは、回答が関連する文献を示す番号とともに表示され、生成された文章と参考文献を同じ画面で比較できる仕様と説明されています。一方で、収録されている専門書の具体的な範囲や、入力内容の学習利用、データの保持については、確認した範囲の紹介ページに記載がありません(出典:丸善リサーチ AIがリサーチを支援)。導入を検討する場合は、利用規約とプライバシーポリシーでの確認が論点になります(要確認)。

出典付きAI検索を使う意味

税務や会計のリサーチでは、結論だけでなく、どの文献のどこに書かれているかが重要です。汎用の生成AIは、文章として自然な回答を返しますが、根拠が示されない場合や、存在しない根拠が示される場合があります。出典付きの検索は、この点を補う設計です。

ただし、出典が示されることと、回答が正しいことは、別の論点です。示された文献を読み、回答の内容が文献に沿っているかを人が確認する工程が残ります。また、専門書には発行時点の制度が書かれているため、その後の改正や通達の変更が反映されているかは、別の資料で確認する必要が出てきます。税務の実務では、法令の原文と、国税庁などの公表資料での最終確認が、引き続き中心になります。

事務所に組み込む7つの手順

以下は、税理士と職員を合わせて数名から十数名ほどの事務所が、リサーチ業務に出典付きAI検索を試す場面を想定した運用例です。サービスの評価や、特定の使い方の推奨は行いません。

第1に、リサーチの種類を分けます。制度の概要を調べる場面、実務の手順を調べる場面、個別の判断に近い場面など、種類によって、AI検索に任せる範囲が異なります。個別の判断に近いほど、人の確認を厚くする設計が考えられます。

第2に、まず無料の範囲で試します。基本の利用が月3回までと示されているため、数件の実際の質問で、出典の示され方や回答の質を確かめる運用があります。ここでは、顧問先の情報を含まない、一般的な質問を使います。

第3に、質問文の作り方を揃えます。自然な文で入力できるとはいえ、前提となる制度や期間を質問文に含めると、出力の意図が読み取りやすくなります。事務所内で、よく使う質問文のひな形を共有すると、職員による差が出にくくなります。

第4に、出典の確認を手順に入れます。示された文献の該当箇所を開き、回答の内容と照らします。ここで、文献の発行年や版を確認し、制度が改正されていないかを、別の資料で調べます。

第5に、原典の確認を行います。法令は、e-Gov法令検索の原文で条文を確認し、通達や制度の解説は、国税庁などの公表資料で確認します。AI検索の回答や、専門書の記述は、この確認の入口として扱います。

第6に、記録を残します。質問文、示された出典、確認した原典、確認者、確認日を、案件のファイルに残しておくと、後日、根拠を説明できます。

第7に、利用の枠を見直します。基本の月3回で足りない場合は、AI検索Plusの月額1,500円(税抜)が示されています(出典:PR TIMES 丸善リサーチ AI検索機能の提供開始)。費用に見合うかは、利用の頻度と、リサーチにかかっている時間を実測して判断する運用が考えられます。

プロンプト例

出典付きAI検索の質問文や、確認の整理を補助する場面で使えるプロンプトの例を2本示します。どちらも架空の設定で、顧問先の情報は含みません。

あなたは税務リサーチの質問文づくりを補助します。
次の架空のテーマについて、AI検索に入力する質問文の案を3つ作ってください。

- テーマ: 小規模事業者の書類の保存に関する一般的な制度の概要
- 質問文には、前提となる期間、対象、知りたい観点を含めてください
- 個別の事案には踏み込まず、制度の概要を問う形にしてください
- 最後に、回答を確認する際に、事務所が原典で調べるべき項目を列挙してください
あなたは税務リサーチの確認記録の様式づくりを補助します。
架空の調査案件について、確認記録の項目案を作ってください。

- 項目: 質問文、示された出典、出典の発行年と版、確認した原典(法令・通達・公表資料)、確認者、確認日、未確認の点
- 各項目に、記入のしかたの注意を1文ずつ添えてください
- 断定的な表現は避けてください

守秘義務・規程上の論点

AI検索に質問を入力する際は、守秘義務との関係を整理します。税理士法第38条は、税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならないと定め、税理士でなくなった後も同様としています。公認会計士法第27条も、公認会計士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならないと定めています。これらの条文を、AI検索への質問の入力にどう当てはめるかは、サービスの契約や設計によって異なります。本記事では判断せず、個別の事案は有資格者の判断に委ねます。

事務所として確認する項目を挙げます。1つ目は、入力した質問の保管と学習への利用の扱いです。確認した範囲の紹介ページでは、学習利用やデータの保持の記載が見当たらないため、利用規約とプライバシーポリシーでの確認が論点になります(要確認)。2つ目は、質問に含めてよい情報の範囲です。顧問先を特定できる情報や、金額、日付を質問文に入れない運用から始める方法があります。3つ目は、質問文の匿名化の手順です。一般化した質問に置き換えてから入力する運用が考えられます。

個人情報の面では、個人情報保護法第27条が、個人情報取扱事業者が、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならないと定めています(例外が列挙されています)。質問文に個人データを含めない運用であれば、この論点を避けやすくなります。含める場合の整理は、個人情報保護委員会の公表資料などで、個別に確認します(要確認)。

規程に落とす際は、利用してよいサービスの一覧、入力してよい情報の区分、出力の確認の手順、記録の残し方を、AI利用規程の項目として整理します。規程の作り方は、士業事務所のAI利用規程テンプレートや、事務所のAIガイドラインの作り方で扱っています。

失敗例と回避策

出典付きAI検索の利用で起こりがちな失敗を、3つ挙げます。いずれも一般的なシナリオで、特定の事務所の事例ではありません。

1つ目は、出典が付いていることを理由に、確認を省くケースです。出典が示されることと、回答が文献に沿っていることは、別の論点です。回避策は、示された文献の該当箇所を、人が開いて確認する工程を、手順に入れることです。

2つ目は、専門書の記述が、改正前の制度に基づくケースです。専門書は発行時点の制度を書いているため、その後の改正が反映されていない場合があります。回避策は、法令の原文と、国税庁などの公表資料で、現行の内容を確認することです。

3つ目は、質問文に、顧問先を特定できる情報を入れてしまうケースです。回避策は、質問文を一般化してから入力する手順を、事務所内で共有することです。

費用・工数・体制

費用は、基本の利用が月3回まで、AI検索Plusが月額1,500円(税抜)と示されています(出典:PR TIMES 丸善リサーチ AI検索機能の提供開始)。丸善リサーチ自体の利用料金は、サービスの公式ページで確認します(要確認)。工数としては、試用の期間の設計、質問文のひな形の作成、確認記録の様式づくりが発生します。

体制としては、リサーチの責任者を、税理士または公認会計士の中から置き、運用の窓口を職員の中から決めます。試用の結果を共有する場を設けると、事務所としての使い方が揃いやすくなります。

今後の展望と独自考察

出典付きのAI検索は、汎用の生成AIの弱点を補う方向の設計です。論点になるのは、次の3点です。

1つ目は、出典の確認を、どこまで人の工程として残すかです。出典が示されると、確認の負担は下がりますが、ゼロにはなりません。2つ目は、専門書の記述と、最新の制度との差を、どう埋めるかです。出典付き検索と、法令の原文、公表資料の確認を、どう組み合わせるかが、運用の設計になります。3つ目は、データの扱いを、事務所として確認できるかです。サービスごとに、規約と運用を確認する工程が、導入の前提になります。

AIツールの選び方は、会計事務所向けAIエージェントの比較で整理しています。リサーチ用のツールを検討する際の参考になります。

よくある質問

丸善リサーチのAI検索は、いつから使えますか。

プレスリリースによると、2026年9月1日に提供が開始されています(出典:PR TIMES 丸善リサーチ AI検索機能の提供開始)。最新の提供条件は、公式ページで確認する運用があります。

回答に出典が付いていれば、内容は正しいと考えてよいですか。

出典が示されることと、回答が正しいことは別の論点です。示された文献を開き、回答が文献に沿っているかを人が確認する運用があります。

専門書の記述は、最新の制度と一致しますか。

専門書は発行時点の制度を書いているため、その後の改正が反映されていない場合があります。法令の原文や、公表資料で、現行の内容を確認する運用があります(要確認)。

質問の内容は、AIの学習に使われますか。

確認した範囲の紹介ページには、記載が見当たりません。利用規約とプライバシーポリシーでの確認が論点になります(要確認)。

顧問先の情報を質問に含めてもよいですか。

税理士法第38条や公認会計士法第27条が、業務上知り得た秘密に関する義務を定めています。個別の入力との関係は、契約と設計によるため、本記事では判断していません。質問を一般化してから入力する運用があります。

まず何から始めればよいですか。

顧問先の情報を含まない一般的な質問で、基本の範囲を試す運用があります。出典の示され方と、確認にかかる時間を記録します。

参考文献

※士業のチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴事務所の業務に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://shigyonochikara.jp/contact/

本記事の作成体制について

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。

本記事には特定の資格者による監修は入っていません。個別の事案について法令の当てはめや手続の可否を判断する必要がある場合は、当該分野の有資格者にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な法律判断・税務判断・労務判断を提供するものではありません。

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