金融庁は令和8年9月29日、連結財務諸表規則に関する告示の一部改正を公布・施行しました。
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。金融庁は令和8年9月29日、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件の一部を改正する件」の公布及びパブリックコメントの結果についてを公表しました。連結財務諸表規則が参照する企業会計の基準の指定を更新するもので、公認会計士や税理士など、上場企業や連結決算を扱う顧問先を持つ士業事務所にとっては、会計基準の動きを把握する材料になります。この記事では、公表された事実関係を整理し、事務所で確認しておきたい点をまとめます。
何が公表されたか:公布・施行とパブリックコメント結果
金融庁の公表ページによると、今回の改正は令和8年9月29日に公布され、同日から施行されています。改正案に対しては、令和8年7月10日から8月10日までの期間でパブリックコメントが実施され、寄せられた意見は2件でした。公表ページには、コメントの概要と金融庁の考え方をまとめた別紙1と、改正の新旧対照表にあたる別紙2のPDFが添付されています。担当は、企画市場局の企業開示課と案内されています。
改正案の段階で公表された内容は、令和8年7月10日付の金融庁の案内ページで確認できます。同ページによれば、指定の見直しは3点です。1点目は国際財務報告基準(IFRS)第14号「規制繰延勘定」の廃止、2点目はIFRS第20号「規制資産及び規制負債」の新設、3点目は国際会計基準(IAS)第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」の修正です。いずれも、国際会計基準審議会が令和8年6月30日までに公表したものを取り込む内容と説明されています。
なお、公布後の最終的な改正内容が改正案から変わったかどうかは、別紙PDFの新旧対照表を確認する必要があります。今回の公表ページの要約だけでは判断できないため、この点は要確認です。
士業事務所にとっての論点
連結財務諸表規則は、一定の要件を満たす会社が連結財務諸表を作成する際の用語、様式、作成方法を定めている規則です。同規則のもとで、金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する告示があり、今回改正されたのはこの告示にあたります。国際会計基準を任意に適用する会社にとっては、どの基準が指定されているかが、開示書類を作成する際の前提になります。
影響を受けやすいのは、公認会計士による監査や、上場会社の開示実務に関わる事務所です。IFRSを適用している会社の監査や、その支援に関わる場合は、指定される基準の範囲が変わったことを把握しておく必要が生じる可能性があります。一方で、日本基準で決算を組んでいる中小企業を主に顧問先とする税理士事務所では、直接の影響は限定的とみられます。ただし、上場企業グループの子会社や、海外進出企業の経理を支援している場合は、親会社側の基準の動きが決算資料の依頼内容に波及することも考えられます。
IFRS第20号は、規制資産及び規制負債に関する基準として新設されるものと、金融庁の案内ページに記載されています。電気、ガス、水道のように料金が規制される事業に関わる会計処理を扱う基準と受け取られやすい分野ですが、具体的な適用対象や適用開始時期、経過措置は、今回確認できた公表ページには記載がありません。この点は、国際会計基準審議会の公表資料と、金融庁の別紙PDFで確認する段階です。
今後の動きと初動の確認事項
今回の改正は公布日に施行されているため、制度上の動きとしては「指定の更新が済んだ」段階にあります。実務側の関心は、各基準の適用時期と、企業の開示書類にどう反映されるかに移っていきます。今後、金融庁や企業会計基準委員会、日本公認会計士協会から、関連する解説や実務上の留意点が公表される可能性があります。現時点で、そうした追加資料の有無や内容は確認できていません。
事務所側の確認事項としては、次のような対応を採る事務所があります。1つ目は、金融庁の公表ページから別紙1と別紙2のPDFを取得し、新旧対照表を確認する対応です。2つ目は、顧問先にIFRS適用会社や、その連結対象となる子会社がある場合に、経理担当者へ基準変更の情報が共有されているかを確認する対応です。3つ目は、日本公認会計士協会や税理士会などの職能団体からの通知を、定期的に確認する対応です。いずれも、個別の会社の状況に応じて必要性は異なります。
生成AIとの関わりでいえば、会計基準の改正文や新旧対照表のPDFを読み込ませて要点を整理させる使い方が考えられます。その際は、条文や基準名、日付といった数値を必ず原典と照合することが前提になります。AIが出力した要約をそのまま顧問先に渡す運用は、誤りが含まれるリスクがあるため、原典確認を前提にした運用設計が論点になります。
まとめ
金融庁は令和8年9月29日、連結財務諸表規則に関する企業会計基準の指定告示の一部改正を公布・施行し、パブリックコメントの結果として意見が2件だったことを公表しました。改正案の段階では、IFRS第14号の廃止、IFRS第20号の新設、IAS第28号の修正が示されています。最終的な改正内容や適用時期の詳細は、別紙PDFの確認が必要です。公認会計士、税理士をはじめとする士業事務所は、一次情報を起点に、顧問先への影響の有無を確かめる段階にあります。
参考文献
- 金融庁「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件の一部を改正する件」の公布及びパブリックコメントの結果について
- 金融庁 同告示の一部改正案の公表(令和8年7月10日)
- 金融庁 改正案PDF
- 金融庁 報道発表資料一覧
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引用元: 金融庁
本記事の作成体制について
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。
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