デジタル庁は9月29日、第6回先進的AI利活用アドバイザリーボードを開きました。
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。デジタル庁は令和8年9月29日、第6回先進的AI利活用アドバイザリーボードを庁議室とオンラインで開催し、各府省庁の生成AIシステムの定期報告と、政府向けの生成AIガイドラインの充実に向けた検討事項案を議題にしました。官公庁向けの資料ですが、生成AIをどこまで任せ、どこで人が確認するかという論点は、AIエージェントの導入を考える士業事務所にとっても参考になる部分があります。この記事では、公表された配布資料の内容を整理します。
何が公表されたか:会議の議題と各府省庁の利用状況
会議は9月29日11時から13時まで開かれ、議事次第には、各府省庁生成AIシステム定期報告概要、ワーキング・グループ実施報告、生成AIに係る動向、ガイドライン充実に向けた検討事項案などが並んでいます。配布資料は議事次第と資料1から6、参考資料1です。
資料1の定期報告概要によると、令和8年6月末時点で利用中のシステムは252件です。25機関のうち21機関が利用を開始した段階に入っています。利用の型としては汎用チャット型が多く、特定のデータを参照させる型が増え、自律型のAIエージェントも限定的ながら使われ始めているとされています。同資料には、6月末時点までにリスクケースの発生事例はなかったという記載があります。また、機密性2以上の情報を扱う案件は、プロンプト入力やRAG参照(社内資料などを検索して回答に反映する仕組み)に限られる傾向があるとされています。
検討事項案の中心はAIエージェント
政府は現在、行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドラインを運用しており、資料6はその充実に向けた検討事項案です。柱は、AIエージェントと画像入力を対象に加えることの検討です。
AIエージェントについては、いくつかの観点が示されています。付与する権限は業務遂行に必要な範囲に限定することを基本とし、送金処理や外部への情報送信のように取り消しにくい作業では、職員が確認する仕組みを必須にする案です。要機密情報への接触は必要最小限にとどめ、情報にアクセスできる権限と外部へ伝える手段を同時に持たせる場合は、人の確認や監視の仕組みを組み込むとされています。サイバーセキュリティの面では、間接プロンプトインジェクション(外部の文書などに紛れた指示でAIが誤動作させられる攻撃)や、ツール・MCPサーバ利用時のメモリ汚染が論点に挙がっています。
人による確認が形だけになる「承認疲れ」への言及もあります。職員の承認にかかる時間や却下率を確認することや、自動化バイアスに関する教育を行うことが、検討事項として挙げられています。このほか、トークン利用量の把握と上限設定、海外サーバー利用時の留意事項、ISO/IEC 42001との対応関係の整理なども並んでいます。
士業事務所にとっての論点
今回の資料は行政機関向けで、士業事務所に適用されるものではありません。ただし、事務所でAIエージェントや外部ツール連携を検討する際に、どんな論点が整理されているかを知る材料にはなります。
たとえば、権限を業務に必要な範囲に絞る考え方、取り消しにくい操作の前に人が確認する考え方、ログを残して後から検証できるようにする考え方は、顧客の機密情報を扱う事務所が運用を設計するときの切り口として参照できます。また、約款型のクラウドサービスでは要機密情報を扱えないことを理解したうえで使う、という利活用ルールの記述もあります。生成AIへの入力データが学習に使われるかどうかは、ツールごとの提供条件によって異なるため、導入時に各ベンダーの公式ポリシーを確認する必要があります。なお、資料は検討事項案の段階であり、最終的な文言は今回の資料からは確認できません。
今後の展望
資料6は「検討事項案」です。ガイドラインへの反映内容や時期は、今回の公表資料からは確認できません。今後、デジタル庁のアドバイザリーボードのページに議事録や改訂版が掲載される可能性があるため、公式ページで更新を確認していく段階です。
事務所側では、次のような点を確認している例が考えられます。利用しているAIツールが外部サービスと連携できるか、その権限の範囲はどうなっているか、操作ログは残るか、といった点です。いずれも各事務所の状況に応じて判断が分かれる事項で、本記事は特定の対応を推奨するものではありません。
まとめ
デジタル庁は令和8年9月29日の第6回先進的AI利活用アドバイザリーボードで、252件の政府内生成AIシステムの定期報告と、AIエージェントへの対応を中心とするガイドライン充実の検討事項案を示しました。最小権限、取り消しにくい操作での人の確認、ログの保存、承認疲れへの配慮といった論点は、官公庁だけでなく、AIの運用設計を考える士業事務所にとっても確認しておく価値があります。
参考文献
- デジタル庁 第6回先進的AI利活用アドバイザリーボード
- デジタル庁 資料1 各府省庁生成AIシステム定期報告概要(PDF)
- デジタル庁 資料6 生成AIの調達・利活用に係るガイドライン充実に向けた検討事項案(PDF)
- デジタル庁 議事次第(PDF)
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引用元: デジタル庁
本記事の作成体制について
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。
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