厚生労働省は、就労条件総合調査の令和7年度実施状況を公表しました。
厚生労働省はトピックスのページで、市場化テスト(官民競争入札)の対象事業として実施している就労条件総合調査の令和7年度分の実施状況を公表しました。別添資料によると、有効回答率は全体で50.7%にとどまり、目標水準の61.1%を下回っています。就労条件総合調査は、企業の労働時間制度や賃金制度、福利厚生などを把握する統計調査で、人事労務に関わる士業の実務と接点の多い公的統計です。この記事では、公表された資料に書かれている範囲で内容を整理します。

何が公表されたのか、実施状況の中身
別添PDFによると、対象の業務は、調査関係用品の印刷・配布、電子調査票の作成、調査票の回収と受付、督促、照会対応、個票審査、データ入力、調査対象企業名簿の修正などです。実施期間は令和7年10月1日から令和8年3月31日まで、実施事業者は株式会社サーベイリサーチセンターと記されています。
質の確保の指標とされているのが有効回答率です。有効回答数を調査客体数で割った値で、令和8年3月31日時点の全体値は50.7%でした。目標水準は全体で61.1%に設定されており、資料の注記には、すべての企業規模区分と規模計で目標に届かなかったと書かれています。規模別の目標水準は、5,000人以上が53.1%、1,000人から4,999人が54.8%、300人から999人が61.0%、100人から299人が64.5%、30人から99人が64.0%です。規模別の実績値は、資料の表の配置が読み取りにくいため、この記事では扱いません。数値が必要な場合は原本のPDFで要確認です。
経費については、定額の支払額が税別2,090万円(税込2,299万円)で、成果部分の支払額は0円と記載されています。参考として、3か年の落札金額は税別6,270万円(税込6,897万円)です。
目標に届かなかった理由として挙げられた点
資料は、目標未達の要因を大きく二つ挙げています。一つ目は、周期調査項目による回答負担の増加です。令和7年度は労働費用に関する調査が行われ、退職給付や法定福利費、法定外福利費の内訳など、詳細な回答が求められました。例年より記入の負担が大きく、回答の拒否や途中での断念が多く出たと説明されています。
二つ目は、オンライン回答の操作性です。論理チェックのエラーが出やすく、解消に手間がかかったことに加え、回答画面の変更によって保存ボタンと送信ボタンを取り違えた可能性があり、送信に至らない事例が増えたとされています。
督促は段階的に行われました。令和7年12月19日にリマインドはがきを送付し、令和8年1月9日から21日にリマインド電話、2月4日から12日に未回答企業を中心とした督促電話、2月26日に依頼状と調査票の再送付、3月2日から6日に未提出企業への督促電話を実施しています。資料は、督促によって回答率はある程度上積みされたものの、目標水準には届かなかったと総括しています。
士業事務所にとっての論点
この公表は、制度の変更や新たな義務を知らせるものではありません。ただ、人事労務の顧問業務を担う社会保険労務士や、企業の福利厚生費や退職給付の実態を扱う税理士、公認会計士にとっては、公的統計の作られ方を知る材料になります。調査の回答率は集計結果の代表性を考えるうえでの前提情報であり、令和7年度の調査結果を顧問先との比較や助言に使う場面では、この回答状況も併せて確認しておきたい点です。
また、顧問先の企業が調査客体に選ばれて回答を求められた場合、労働費用の内訳のような項目は社内の複数部署にまたがる情報になりやすく、記入に時間がかかる可能性があります。こうした統計調査への協力依頼が届いたときの社内の窓口をあらかじめ決めておく、という対応を採る企業もあります。調査への回答に関する法令上の位置づけは、この記事では当てはめを行わず、所管省庁の案内を直接確認する段階です。
なお、今回の資料は生成AIに関する内容を含んでいないため、AIツールのデータの取り扱いに関する論点は扱いません。
今後の注目点
今回の資料は令和7年度分の実施状況で、参考として3か年の落札金額も記載されています。次年度以降の調査設計や、オンライン回答画面の改善がどう反映されるかが、回答率の動きを見るうえでの焦点になります。令和7年度調査の結果概要の公表時期や内容については、現時点で今回の資料からは確認できません。厚生労働省の統計情報のページで続報を確認する段階です。
まとめ
厚生労働省は、就労条件総合調査の令和7年度の実施状況を公表し、有効回答率が50.7%で目標の61.1%に届かなかったことを明らかにしました。要因として、労働費用調査による回答負担の増加とオンライン回答画面の操作性が挙げられています。調査結果を実務で参照する際は、こうした回答状況も背景情報として押さえておくと安心です。
参考文献
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引用元: 厚生労働省
本記事の作成体制について
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。
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