ChatGPT公開後のWebページの3分の1超にAI執筆の兆候があります。
Pew Research Centerは2026年8月20日、インターネット上の文章がどの程度AIによって書かれているかを検証したデータエッセイ「How Much of the Internet Is Written With AI?」を公表しました。約49万ページの英語Webページを検証した結果、2026年7月時点のランダムサンプルでは10%にAI執筆の兆候が見られ、ChatGPT公開後に公開されたページに限ると3分の1を超えました。士業事務所にとっては、自事務所の情報発信と、外部から受け取る文書の読み方の両方に関わる数字です。

Pewの調査が示した数字
結論として、AI執筆の兆候があるページは2022年末以降、一貫して増え続けています。
Pew Research Centerは、Web上の膨大なページを収集しているCommon Crawlのアーカイブから、2021年1月から2026年7月までに収集された英語のWebページ約49万件を抽出しました。そのうえで、Pangramが公開している検出モデル「Open Pangram」に本文を通し、AIによって書かれた、あるいは大幅に編集された可能性が高いページを判定しています。
2026年7月時点で収集した1万ページのランダムサンプルのうち、AI執筆の明確な兆候が出たのは10%でした。ただしWeb上にはChatGPT登場以前の古いページも大量に混ざっています。そこで2022年11月末のChatGPT公開より後に公開されたページだけに絞り込むと、その割合は3分の1超まで跳ね上がりました(出典: Pew Research Center)。
分布は一様ではありません。2026年1月時点の集計では、.comドメインが9.35%だったのに対し、.orgは4.59%、.eduは1.03%、.govは0.76%でした(出典: Pew Research Center)。商用ドメインが教育機関や政府機関のおよそ10倍という開きです。ChatGPT公開直後の2023年初頭には4つのドメインがいずれも1%前後で横並びだったことを踏まえると、この3年で商用領域だけが突出して伸びたことになります。
AIらしさの痕跡はどこに出るのか
Pewは、AI生成文に偏って現れる語彙や記号の使用頻度も測定しています。1万語あたりの出現数を2023年1月と2026年1月で比べると、ダッシュ記号(em dash)は5.79から11.19へおよそ2倍、列挙時のオックスフォード・コンマは34.04から55.51へ63%増、AIが好んで使う語彙(delve、interplay、testamentなど)は11.94から26.02へ2倍超、「it’s not just X, it’s Y」型の対比表現は0.87から2.36へおよそ3倍に増えました(出典: Pew Research Center)。
重要なのは、Pewがこれらの特徴を単独の判定材料としていない点です。ダッシュ記号もオックスフォード・コンマも人間が普通に使うものであり、Pewは「検出モデルは完璧ではなく、人間が書いた個別の文書をAI由来と誤分類することもその逆もある」と明記しています。大量の文書をまとめて観察したときに初めて統計的な傾向として見える、という位置づけです。
なお同じくPewが2026年6月に公表した米国成人のAI利用調査では、米国成人の約半数がAIチャットボットを利用し、24%が毎日使うと回答しています。書き手側の裾野が広がった結果が、Web全体の文章に表れてきたという構図です。
士業事務所から見た論点
この調査は士業の業務を直接規律するものではありませんが、実務の周辺には二つの接点があります。
一つは、事務所自身の情報発信です。AI執筆の兆候が最も濃いのは.comドメイン、つまり企業サイトやオウンドメディアの領域でした。事務所サイトのコラムや解説記事も同じ土俵にあります。生成AIで量産された記事が増えるほど、実務経験に裏打ちされた一次情報の相対的な価値が上がる、という見立てで発信方針を組み直している事務所もあります。
もう一つは、受け取る文書の読み方です。相手方から提出された書面や、依頼者が持ち込んだ資料がAIで作成されている可能性は年々高まっています。ただしPewが自ら述べているとおり、検出モデルの判定には誤りが含まれます。「AI検出ツールが反応したから、この文書はAIが書いた」と断じる材料にはなりにくく、記載内容そのものの裏取りが引き続き要になる、という受け止め方が現実的です。
AIツールを事務所で使う場合のデータの取り扱いについては、本調査は何も述べていません。入力した文章が学習に使われるかどうかは各ベンダーの公表ポリシーで個別に確認する段階であり、この点は当サイトのOpenAIのゼロデータ保持に関する記事でも取り上げています。
今後の動き
Pewの時系列データを見る限り、.comドメインのAI執筆比率は2024年1月の3.76%から2026年1月の9.35%まで、2年でおよそ2.5倍になっています。この傾斜が続けば、Web上の商用コンテンツの相当部分が生成AI経由になる展開も視野に入ります。
一方で.eduと.govは1%前後で横ばいのままです。公的機関や教育機関の文書は、生成AIの浸透後も人間の執筆・確認プロセスが維持されているとも読めます。士業が日常的に参照する官公庁の公表資料は、少なくとも現時点では後者の側に位置しているという整理ができます。
検出技術の側も動いています。Open Pangramのようなオープンな検出モデルが公開されたことで、第三者が同じ手法で検証できる環境が整いつつあります。判定精度と誤判定率をどう扱うかが、次の論点になりそうです。
まとめ
Pew Research Centerが2026年8月20日に公表した調査では、ChatGPT公開後に公開されたWebページの3分の1超にAI執筆の兆候が確認されました。ドメイン別では.comが9.35%と突出し、.eduと.govは1%前後にとどまります。検出モデルには誤判定が含まれるとPew自身が明記しており、判定結果を断定材料に使うことは難しい状況です。
参考文献
- Pew Research Center「How Much of the Internet Is Written With AI?」(2026年8月20日)
- Pew Research Center「Methodology」(同調査の方法論)
- TechCrunch「A third of web pages published since ChatGPT’s launch show signs of AI authorship, study finds」
- Pangram「Introducing Open Pangram」
- Common Crawl
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引用元: TechCrunch
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