厚生労働省は令和8年10月に実施される主な制度変更を公表しました。
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。厚生労働省は、令和8年10月に実施される制度変更のうち、特に国民生活に影響を与える事項を「厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年10月)について」として掲載しました。雇用・労働、福祉、年金の3分野にわたり、カスタマーハラスメント対策の義務化、同一労働同一賃金ガイドライン等の改正、地域別最低賃金の改定、短時間労働者の賃金要件の撤廃、育児期間の国民年金保険料免除制度の導入などが並んでいます。この記事では、掲載された項目を分野ごとに整理し、社会保険労務士をはじめとする士業事務所が顧問先への案内を考える際の材料をまとめます。
何が公表されたか:雇用・労働関係の3項目
雇用・労働関係では3項目が掲載されています。1つ目は、企業へのカスタマーハラスメント対策等の義務化の施行です。掲載ページには、カスタマーハラスメントおよび求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するために必要な雇用管理上の措置が、全ての事業主に義務付けられると記されています。主な対象者は全ての事業主で、担当は雇用環境・均等局雇用機会均等課です。関連ページとして、厚生労働省の職場におけるハラスメント防止のページとあかるい職場応援団が案内されています。
2つ目は、同一労働同一賃金ガイドライン等の改正です。賞与、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、福利厚生施設、病気休職、夏季冬季休暇、褒賞について、新たに記載が追加されるとあります。あわせて、雇入れ時や派遣時の労働条件明示事項に、待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨が加わり、その明示が必要になると記されています。対象は短時間・有期雇用労働者とその事業主、派遣労働者と派遣元事業主および派遣先です。詳細は同一労働同一賃金の特集ページで案内されています。
3つ目は最低賃金の改定です。都道府県ごとに定められている地域別最低賃金が10月1日以降順次改定され、全ての都道府県で時間額54円から65円の引上げとなり、全国加重平均は1,177円と示されています。改定状況は令和8年度地域別最低賃金改定状況(PDF)や必ずチェック最低賃金で確認できます。
年金・福祉関係の動きと、社会保険の加入対象
年金関係では4項目が掲載されています。まず、令和7年の年金制度改正で被用者保険(厚生年金・健康保険)の適用が拡大されることに伴い、新たに適用事業所となった比較的小規模な事業所で働く短時間労働者について、手取りの減少を緩和するための保険料調整の仕組みが導入されます。制度の案内は日本年金機構の保険料調整制度のページにあります。
次に、短時間労働者の被用者保険の適用における賃金要件の撤廃です。掲載ページによると、最低賃金が1,016円以上の地域では週20時間働くことで賃金要件(月額8.8万円、年額換算で約106万円)を満たすことから、全国の最低賃金が1,016円以上となっていることを踏まえ、この賃金要件を撤廃するとされています。これに関連して、最低賃金法の減額特例許可の対象である短時間労働者の賃金が月額8.8万円未満の場合には、被用者保険の被保険者としないこととしつつ、本人の希望に応じて任意で加入できる措置を設けるとあり、事業主の同意は不要と記されています。
さらに、国民年金第1号被保険者が1歳未満の子を養育している期間について、保険料の納付が免除される育児期間免除制度が始まります。免除された期間も保険料を納付したものとして扱われ、将来の年金額に反映されると説明されています。詳しくは育児期間の国民年金保険料免除制度のページにまとめられています。福祉関係では、生活扶助基準の見直しとして、令和8年10月から1年間、特例加算を現行の月額1,500円から1,000円引き上げて2,500円とし、加算を行ってもなお従前の基準額から減額となる世帯には従前の基準額を保障する措置が掲載されています。
士業事務所にとっての論点
今回の公表は、厚生労働省が制度変更を一覧にしたお知らせであり、事務所に新たな手続を求めるものではありません。ただ、顧問先を持つ社会保険労務士の事務所にとっては、カスタマーハラスメント対策の雇用管理上の措置、労働条件明示事項の追加、最低賃金の改定、短時間労働者の社会保険の適用という4つが、10月を前後して同時に話題になり得ます。就業規則や労働条件通知書の様式に関わる項目が含まれるため、顧問先から様式の更新について相談を受ける場面があるかもしれません。
行政書士や税理士の事務所では、フリーランスや自営業者の顧客から育児期間の国民年金保険料免除について聞かれることや、パート従業員の社会保険加入を巡って給与計算の相談を受けることが考えられます。具体的な当てはめは個別の事情によって異なるため、掲載ページの担当部局(雇用環境・均等局、年金局年金課など)の案内と、上記の関連ページを確認するという対応を採る事務所があります。なお、各項目の細かな要件や経過措置は、今回の掲載ページの要約だけでは分からないため、詳細は各関連ページの確認が必要です。
今後の動き
掲載ページは、令和8年10月に実施される制度変更を知らせるものです。最低賃金は10月1日以降、都道府県ごとに順次改定される旨が示されており、発効日は地域により異なり得ます。各制度の運用の細部や、これから公表される通知・Q&Aの内容は、今回の公表資料からは確認できません。今後、厚生労働省や日本年金機構の各ページに追加情報が掲載される可能性があるため、公式ページを定期的に確認していく段階です。
まとめ
厚生労働省は、令和8年10月の主な制度変更として、カスタマーハラスメント対策等の全事業主への義務化、同一労働同一賃金ガイドライン等の改正、全都道府県での時間額54円から65円の最低賃金引上げ(全国加重平均1,177円)、短時間労働者の被用者保険における賃金要件の撤廃、育児期間の国民年金保険料免除制度の導入などを掲載しました。士業事務所は、顧問先や顧客からの相談に備え、一次情報である厚生労働省のページを起点に確認しておく段階にあります。
参考文献
- 厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年10月)について」
- 厚生労働省 令和8年度地域別最低賃金改定状況(PDF)
- 日本年金機構 保険料調整制度のご案内
- 厚生労働省 育児期間の国民年金保険料免除制度
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引用元: 厚生労働省
本記事の作成体制について
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。
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