The Document Foundationは2026年9月3日、LibreOfficeのAI方針を公表しました。
The Document Foundation(以下TDF)は2026年9月3日、無料のオフィスソフトLibreOfficeのAIに対する方針を公式ブログで公表しました。題名は「Yes, No AI is now a feature」で、AIを前提にしないこと自体を製品の特徴として打ち出しています。2026年10月6日にはTechCrunchもこの話題を報じました。士業事務所の側から見ると、書類作成ソフトにAIが組み込まれるとき、入力した文書がどこへ送られるのかという論点に関わる動きです。本記事は公表内容の整理が中心で、事務所の対応を断定するものではありません。公表資料にもとづき、方針の中身、ダウンロード数の動き、今後の確認点を順に整理します。

何が公表されたか:TDFが示した6つの原則
TDFの公式ブログは、Italo Vignoli氏の名前で2026年9月3日に公開されました。LibreOfficeは数千万人規模の個人や組織に使われており、学校、病院、公的機関、法律事務所なども含まれると書かれています。そのうえで、AI機能を扱う際の条件として六つの原則を掲げています。
一つ目は、ユーザーが推論をどこで行うかを選べることです。二つ目は、許可なくコンテンツが外部へ出ないことで、原文には「No content may leave the computer without authorisation」とあります。三つ目は、利用データを集めるテレメトリを持たないことです。四つ目は、特定の単一事業者に依存せず、開かれたインターフェースを必須とすることです。五つ目は、生成した内容をODF形式で扱い、フォーマットで妥協しないことです。六つ目は、AI機能をインストール、削除、非表示のいずれも可能な完全な任意機能とすることです。
同じ投稿には、これらをすべて満たす既存の統合は現時点では存在しないという趣旨の記述もあります。つまり、AIに反対するというより、条件を満たす仕組みが出るまで標準搭載はしないという立場の表明です。GamingOnLinuxも9月4日にこの方針を報じ、文書がリモートサービスに送信されて処理されることはないと伝えています。
数字で見るLibreOffice 26.8:初週103万ダウンロード
この方針が出た背景には、2026年8月26日に公開されたLibreOffice 26.8の反響があります。Linuxiacは、初週のダウンロード数が1,031,162件で、プロジェクト史上で最も多い初週になったと伝えています。
Cybernewsによると、公式サイトでの累計は200万件を超えました。2026年のダウンロード数は同記事の時点で29,755,011件で、2025年の24,830,220件、2024年の23,732,502件を上回っています。ただし、これらは公式サイト経由の数字であり、Linuxの各ディストリビューションなど別の経路での導入は含まれていません。ダウンロード数の増加がAI方針だけによるものかどうかは、公表資料からは確認できません。要確認です。
士業×AIの視点:書類ソフトを選ぶときの論点
この動きは、士業の業務に直接の手続変更を求めるものではなく、ソフトウェア選びの判断材料として受け止める段階です。ただ、士業の事務所では、機密性の高い顧客資料や個人情報を日常的にワープロや表計算で扱います。そのため、書類作成ソフトがAIとどうつながるかは、事務所の情報管理に関わる論点になります。
確認したい点として、まず入力した文書が外部サーバーに送られる設計かどうかがあります。次に、送られる場合に、そのデータが学習に使われるかどうかがあります。この点はソフトごとに異なり、各ベンダーの公式ポリシーと契約条件で個別に確認する話です。今回のTDFの公表は、LibreOfficeについては既定では外部へ送らない方針を示したものですが、他社製品の扱いについては何も述べていません。また、拡張機能を通じてAI機能を追加できると伝えられており、拡張を入れた場合の通信先や設定は利用者側で確認することになります。
今後の動き:次に注目したい点
今後の注目点は三つあります。一つ目は、TDFが掲げた六つの条件を満たす形でのAI統合が、拡張機能や将来の版で実際に出てくるかどうかです。公表資料には具体的な時期は示されていません。二つ目は、Microsoft 365やGoogle Workspaceなど他の主要なオフィススイートが、データの送信先や学習利用の扱いをどう説明していくかです。三つ目は、日本の官公庁や自治体、士業の業界団体がオフィスソフトのAI機能について何らかの案内を出すかどうかです。現時点で、そうした案内が出ているかは公表資料からは確認できません。
事務所としては、使っている書類ソフトのAI機能の有無と初期設定、データの送信先を一度整理しておく、という対応を採る事務所があります。
まとめ
TDFは2026年9月3日、LibreOfficeのAI方針を六つの原則として公表しました。26.8は初週で1,031,162件のダウンロードを記録し、公式サイトでの累計は200万件を超えたと報じられています。書類ソフトのAIとデータの扱いは、他社製品を含めて個別に確認する段階にあります。
参考文献
- The Document Foundation Yes, No AI is now a feature
- TechCrunch LibreOffice says no AI is now a software feature
- Linuxiac LibreOffice 26.8 Sets Download Record as TDF Says No AI Is a Feature
- Cybernews LibreOffice No-AI release smashes records
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本記事の作成体制について
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。
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