AIの職場口コミ53%が否定に 法務は50%好意、会計は4対1で批判

Glassdoorが2026年8月27日に公表した職場AIの口コミ分析で、否定的な言及が53%に達しました。法務は50%好意、会計職は批判が肯定の4倍という職種差を士業視点で整理します。

AIの職場口コミ53%が否定に 法務は50%好意、会計は4対1で批判

Glassdoorの職場AI口コミ分析で、否定的な言及が53%に達しました。

米国の企業口コミサイト Glassdoor が、従業員レビューに登場するAIへの言及を集計した調査を公表しました。AIに触れた口コミのうち否定的なものが53%を占め、肯定が多数だった前年から反転しています。目を引くのは全体の数字よりも、職種と業種による割れ方です。業種別で最もAIに好意的なのは法務でしたが、それでも肯定と否定はちょうど半々でした。一方で会計職は、否定が肯定のおよそ4倍という結果になっています。日本の士業事務所の話ではありませんが、法務と会計が同じ調査の両端に並んだ点は、読み流しにくいところです。

AIへの言及は240%増、感情は2019年から反転

調査は Glassdoor Economic Research のシニアエコノミスト Chris Martin が2026年8月27日に公表したHow workers feel about AI in 2026です。米国の在職・元従業員が投稿した口コミを対象に、本文へ「AI」「LLM」「GPT」「Artificial Intelligence」「OpenAI」といった語が単独で現れるものをAI言及として抽出しています。

AI言及の出現率は年々伸びており、前年同月比で2023年5月が202%増、2024年5月が74%増、2025年5月が164%増、そして2026年5月が240%増でした。同社のWorklife Trends 2026 中間チェックインによれば、この時点でAIはインフレや燃え尽きよりも頻繁に口コミに登場しています。

感情の内訳は、同レポートによれば、口コミの「良い点」欄と「悪い点」欄のどちらにAIが書かれたかで分類されています。2019年は81%が良い点欄のみでしたが、2026年は良い点欄のみが43%、両方に書かれた混在が4%、悪い点欄のみが53%となりました。肯定的な言及の件数自体は増えているものの、批判的な言及の伸びがそれを上回ったため、割合として逆転した形です。

職種と業種で割れる受け止め方

肯定と否定の差は、職種別の集計ではかなり大きく開いています。最も肯定的なのは経営層で、AIに関する記述の67%が良い点欄に置かれていました。営業・プロダクトマネジメント、採用担当、ソフトウェアアーキテクト、データ分析職が続きます。ただし経営層でも肯定は否定の2倍程度で、天井はさほど高くありません。

反対側には保険の損害査定担当が並び、AIに関する記述の98%が悪い点欄でした。ライターやジャーナリスト、会計職、カスタマーサポート、デザイナー、IT職も批判寄りで、会計職の場合は否定が肯定のおよそ4倍と報告されています。業種別に見ると、最も肯定的なのは法務でしたが比率は50対50、批判が多いのはアート89%、非営利85%、保険81%、通信80%、運輸・物流79%という並びでした。企業規模でも差があり、従業員200人以下では肯定51%に対し、1万人超では肯定33%まで下がっています。

付箋を貼った壁の前で導入方針を話し合うチーム

批判の中身も、置き換えへの恐れだけではありませんでした。レポートの分類による内訳は、AIで仕事が置き換えられるという指摘が20%、ツールの利用を強いられているという不満が14%、AIに気を取られて本業や顧客体験が損なわれているという指摘が13%、社内の監視や経営層からの連絡にAIが使われることへの反発が10%と続きます。対応が遅いという批判が9%、経営層の生産性期待が非現実的だという指摘が8%、ツールや研修が与えられないという不満が2%あり、批判の1割は「AIには前向きだが会社の進め方が遅い」という趣旨でした。

一方の肯定側は2種類にほぼ集約されており、会社がAIの波で伸びているという評価が44%、社内でツールと研修と支援がそろっているという評価が41%です。士業事務所の文脈に引き寄せると、法務が最も肯定的で会計が最も批判的という差が同じ調査に同居している点、そして批判の相当部分がツールそのものではなく導入と運用の進め方に向いている点が、ひとつの観察材料になります。

解雇不安との相関と、世代・性別の差

AIへの批判は、他の職場の不満と強く結びついていました。悪い点欄でAIに触れた人のうち25%が解雇にも言及しており、これは全体の基準値の6.0倍にあたります。雇用不安と燃え尽きへの言及はいずれも基準値の3.7倍でした。良い点欄でAIに触れた人でも、解雇への言及は48%多く、雇用不安は98%多いという結果になっています。

世代と性別による差も報告されています。男性の記述は45%が肯定的、女性は32%でした。世代別では上の世代ほど肯定的で、Z世代は33%にとどまります。Z世代の男性42%に対して女性は21%で、この差は職種や業種の違いでは説明できず、統計的な調整を加えても残ったと記されています。ミレニアル世代では職種と業種で差の3分の1が説明でき、X世代では全部が説明できたとのことです。

定着との関係では、AIを良い点に挙げた人は投稿の翌月に他社へ応募する割合が47%低いという結果が出ています。批判した人の応募率は、AIに触れなかった人とほぼ変わりませんでした。他方で同社は、AIに置き換えられやすいとされる職種の満足度が有意に下がった証拠は見つかっていないとも述べています。

なお本件は職場でのAI受容度を測った調査であり、入力データが学習に使われるかという論点とは別のものです。ただし批判の1割が社内での監視や連絡へのAI利用に向いていた点は、データの扱い方に近い話題といえます。調査手法についても、口コミの分類はまず人手でコード表を作り、そのうえでLLMに割り当てさせ、最後に人がサンプルを検証したと明記されています。対象は米国のGlassdoorレビューであり、日本の士業事務所で同じ傾向が現れるかは、公表資料からは確認できません。

まとめ

AIに触れた職場の口コミは1年で240%増え、そのうち53%が否定的な文脈に置かれていました。法務は業種で最も肯定的でも50対50、会計職は批判が肯定の4倍です。批判の内訳は置き換えへの恐れが2割にとどまり、ツールの強制や監視への利用といった進め方への不満が大きな部分を占めていました。

参考文献

あわせて、事務所内でのAIの受け止め方についてはAI導入後の人事評価をどう設計するか、士業事務所のAI研修設計を、導入の進め方については社労士事務所が生成AIを最初に入れるステップ、会計事務所の生成AI移行ロードマップを、運用の記録については事務所のAI利用ログをどう残すかをご覧ください。

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引用元: The Decoder

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