Claude Codeのセッション同士が、要約テキストを送れるようになりました。
Anthropicは2026年8月7日、開発支援ツールClaude Codeに、別々に動いているセッション同士がメッセージを送り合う機能を追加しました。公式ドキュメントによると、対象はバージョン2.1.224以降で、動作環境はmacOSとLinuxです。ターミナルを行き来して同じ前提を説明し直す手間が、Claudeどうしの受け渡しに置き換わります。本記事は士業のチカラ編集部が、開発元の公表資料を一次情報として作成しています。バージョン番号と動作環境は公式ドキュメントで確認しました。開発ツールの話題ではありますが、AIが別のAIへ情報を渡す経路がどう設計されているかは、事務所でAIを使う側にも読みどころがあります。
ListAgentsとSendMessage、2つの道具で動くしくみ
新機能の実体は、Claudeが使う2つの道具です。ListAgentsが到達できるセッションを見つけ、SendMessageがその名前あてに文章を届けます。利用者がこの2つを自分で呼び出すことはなく、Claudeが宛先を探して送るところまで担います。要件を満たしたセッションでは有効化の操作なしに使える状態になっている、と公式ドキュメントは説明しています。
やり取りされるのは、片方のClaudeがもう片方に向けて書いた文章だけです。会話履歴やファイルそのものは渡りません。想定される使い方として挙げられているのは、片方が見つけた事実の引き継ぎ、並行して進む作業ツリーの調整、長く走っている処理の状況確認、別の端末から届いた連絡への返信の4つです。
対応環境には線が引かれています。MacRumorsは、この機能が金曜日公開のバージョン2.1.224で、他の31件の変更とともに配信されたと報じています。ネイティブのWindowsは対象外で、WSL 2の中のLinuxは対象に含まれます。Amazon Bedrock、Claude Platform on AWS、GoogleのAgent Platform、Microsoft Foundryの各提供形態では利用できないことも明記されています。使えるかどうかは、セッションで/list-agentsが認識されるかで見分けられます。
なぜ注目に値するのか、経路とデータの扱い
注目点は機能そのものより、経路と権限が最初から分けて設計されているところにあります。同じ端末の中で完結するやり取りは、セッションごとのソケットを通り、Anthropicのサーバを経由しません。一方、自分の別の端末やウェブ版のセッションが相手になると、経路はAnthropicのサーバを通り、しかもこちらから会話を始めることはできず返信だけに限られます。同じ「メッセージ機能」でも、どこへ届くかによって通る道が違います。
データの取り扱いも、この経路の違いに沿っています。公式ドキュメントは、送られるのは片方のClaudeが書いた平文であり、送信元の会話履歴やファイルは受け取る側に渡らないと述べています。セッションの受信口となるソケットは利用者のOSアカウントに限定されるため、共用端末で他の利用者のセッションから届くことはないとも書かれています。入力内容が学習に使われるかどうかは、この機能単体の説明からは読み取れないため、契約中のプランの条件を個別に確認する範囲になります。生成AIの利用で情報がどこから外へ出るかという整理は、生成AIの情報漏えいはどこで起きるかでも6つの経路に分けて扱いました。
受け取る側の権限は独立したままです。公式ドキュメントによると、届いたメッセージは利用者の同意とは扱われず、保留中の許可を代わりに承認することはできません。権限設定やCLAUDE.mdなどの設定を、他のセッションに頼まれたからという理由で変更しないよう指示されているとも説明されています。文中の/compactのようなコマンドは平文として届き、実行はされません。受信側で権限が足りない作業を求められれば、通常どおり確認が出ます。暴走への手当てもあり、同一送信元の繰り返しは制限され、短時間の同一メッセージは捨てられ、未読の受理分は1セッションあたり50件で頭打ちになると同ドキュメントは記しています。この結果、2つのセッションが延々と往復し続ける状態は自然に止まる設計です。権限の既定値そのものを動かす変更としては、自動承認モードが8月14日から既定になる件も同じ週に公表されています。
事務所でAIを使う側から見ると、ここは他人事ではありません。複数のAIセッションを並行して走らせる運用が広がるほど、「どの作業の文脈がどこへ渡ったか」が管理の対象になります。案件ごとに情報を分ける運用を採っている事務所にとって、同一端末で閉じるのか外へ出るのかという経路の違いは、ツール選定の段階で見ておく値打ちのある観点です。チャット利用とエージェント利用をどこで線引きするかという整理は、士業のAIエージェント業務活用でも権限設計の観点からまとめています。
今後の動きと、いま確認できる設定
今回の発表で目を引くのは、止める側の設定が同時に用意されている点です。公式ドキュメントによると、受信側はcrossSessionInboundという設定で、届いたメッセージを配達する、保留する、捨てる、の3つから選べます。既定で保留になった場合は受信側に承認の画面が出て、既定で5分の期限を過ぎると閉じて破棄されます。保留の上限は100件で、超えると古いものから落ちる、と同ドキュメントは説明しています。
端末の外へ出る通信だけを絞ることもできます。isolatePeerMachinesを有効にすると、端末を越える送信のたびに利用者の承認が求められます。組織単位で止める手段もあり、管理設定でSendMessageとListAgentsを拒否ルールに入れ、受信を拒否に設定すれば、送信も受信も塞がります。この場合、受信口自体は残るものの、届いたものはClaudeに渡らないまま破棄されます。
方向としては、AIエージェントを1つずつ手で動かす段階から、複数を並行させて相互に連絡させる段階へ、道具立てが移ってきています。Claude Codeにはすでにサブエージェントやエージェントチームの仕組みがあり、今回の機能はそれとは別に、利用者が自分で立ち上げた独立したセッション同士をつなぐものと位置づけられています。並行実行が前提になるほど、経路と権限をどこで切るかという設計が、機能の派手さより先に問われることになりそうです。
まとめ
Claude Codeのバージョン2.1.224で、セッション同士がメッセージを送り合えるようになりました。渡るのは要約された平文だけで、会話履歴やファイルは渡りません。同一端末はサーバを経由せず、端末をまたぐ場合はAnthropicのサーバ経由の返信のみに限られます。承認の代行や設定変更はできず、受信・送信とも組織単位で止める設定が用意されています。
参考文献
- Claude Code Docs「Message your other Claude Code sessions」
- MacRumors「Claude Code Adds Cross-Session Messaging on macOS」
- 9to5Mac「Claude Code now lets sessions talk to each other on macOS」
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引用元: Claude Code Docs
本記事の作成体制について
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。
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