AIエージェント開発でも最終決定85.5%はなお人間、複旦大学系実証

AIモデル開発の現場でも、最終決定の85.5%は依然として人間が担うと判明しました。複旦大学系の研究チームが769件のタスクログを分析した最新調査を、士業事務所のAI活用の視点も交えて紹介します。

AIエージェント開発でも最終決定85.5%はなお人間、複旦大学系実証

AIモデル開発でも最終判断の85.5%は人間が下すと分かりました。

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。研究プロジェクトの公開資料と一次報道を基に内容を確認しています。The Decoderが2026年9月27日、AIモデル開発の現場で人間とAIエージェントがどう役割分担しているかを分析した調査結果を報じました。中国・復旦大学の研究者を含むチームが、自らのAI開発プロジェクトを対象に検証した結果です。AIエージェントの実務投入が進む中、人間の関与がどこまで残るかを示すデータとして注目されます。

AIエージェントによる作業比率の推移を示すグラフ

何が起きたか・769件のタスクログが示す役割分担

調査対象は、Atria Dawn Previewという次世代型AIエージェントモデルの開発プロジェクトです。研究チームは56名の参加者が残した769件のタスクログを分析しました。対象になったのは、情報検索や研究、ソフトウェア開発、文書作成・報告書化、セキュリティ分析といった、実際の開発業務に近いタスク群です。

結果として、手法やパラメータの提案の55.4%をAIエージェントが行った一方、最終的な決定の85.5%は人間が下していました(出典: The Decoder)。提案する主体はAIに移りつつも、選ぶ主体は依然として人間だったことになります。

さらに、AIが関与したタスクのうち33.2%(455件中151件)は、AIの支援がなければ実行自体が不可能と評価されました(出典: The Decoder)。AIは単なる補助にとどまらず、作業量そのものを増やす役割も担っていたことがうかがえます。

一方で、4週間の観察期間でエージェントの行動数と人間の入力数の比率(中央値)は11から28.5へと増加しました(出典: The Decoder)。エージェントが自律的に動く場面は明らかに広がっています。研究チームは自分たちの開発プロセス自体を調査対象にしており、外部のベンチマークではなく実際の開発現場のログを使った検証である点も特徴です。

なぜ重要か・「動く量」と「決める量」は別

このデータが示すのは、エージェントの活動量が増えることと、エージェントが自律的に意思決定することは別物だという点です。研究チームは「エージェントの活動が増えたからといって、自律性が高まったことを意味しない」という趣旨の指摘をしています。

裏付けとなるのが、作業が難航した場面での人間の関与です。困難が記録されたタスクのうち76%は人間の介入によって前進しており、その内訳は文脈の追加や要件の明確化が35.2%、原因の診断や手法の切り替えが34.7%でした(出典: The Decoder)。AIが提案した方向性を、人間が状況に応じて修正・軌道修正している構図です。

この構図は、士業事務所での生成AI活用とも重なります。AIに下書き作成や論点整理、資料の一次チェックを任せる場面が増えても、最終的にどの見解を採用し、顧問先にどう回答するかという判断は、資格を持つ専門家の役割として残り続けます。件数や作業量が増えることと、判断の主体が変わることは別の問題だという整理は、業務でAIを使う士業事務所にとっても参考になる視点です。今回の調査は、AI開発という別分野の現場でも、提案と決定の役割分担が同じ形で表れていることを示した点に意味があります。

今後の動き・自律性の議論はデータで検証される段階へ

AIエージェントの自律性をめぐっては、開発を主導する側からも慎重な見方が示されています。同記事では、Anthropicが同社のAI「Claude」の速度制限や一時停止ボタンの必要性に言及してきた経緯にも触れられています。

今後は、今回のような実際の作業ログに基づく検証が増えていく見通しです。「AIがどこまで自律的に動いているか」という議論は、印象ではなく具体的な行動データで裏付けられる段階に移りつつあります。The Decoderは同じ記事の中で、OpenAIやGoogle DeepMindでもエージェントの自己改善に関する取り組みが進んでいることに触れており、AI開発現場での人間とエージェントの役割分担は、一社だけでなく業界全体で検証が進むテーマになりそうです。士業事務所がAIツールを選定する際も、提供元がこうした実測データを公表しているかどうかは、判断材料の一つになりそうです。

まとめ

複旦大学系の研究チームによる調査では、AI開発の現場でも手法提案の55.4%をAIが担う一方、最終決定の85.5%は人間が担っていました(出典: The Decoder)。活動量の増加と自律的な意思決定は別物であることが、実際のタスクログから示された形です。

参考文献

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引用元: The Decoder

本記事の作成体制について

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。

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