投資事業有限責任組合の実務指針第38号が改正、市場価格のない株式の時価評価を背景に

日本公認会計士協会が投資事業有限責任組合の実務指針第38号の改正を2026年10月16日に公表。背景の2025年の動きと公開草案からの流れを会計士・税理士向けに整理します。

監査基準報告書240改正案をJICPAが公表|意見募集は9月10日まで

日本公認会計士協会は、投資事業有限責任組合の実務指針第38号の改正を公表しました。

日本公認会計士協会(JICPA)は2026年10月16日、業種別委員会実務指針第38号「投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱い」の改正と、公開草案に対するコメントの概要及び対応を公表しました。本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で確認しています。ファンドの会計や監査、出資者となる事業会社の経理に関わる公認会計士や税理士にとって、改正の背景と時期を押さえる材料になります。なお、指針本文と新旧対照表はPDFで公開されており、本記事の作成時点では本文の中身までは確認できていないため、個別の改正内容には踏み込みません。

何が公表されたのか

日本公認会計士協会の公表ページによると、掲載日は2026年10月16日で、号数は第38号、担当は常務理事の男澤江利子氏です。同ページには、業種別委員会が2026年10月7日開催の常務理事会の承認を受けて、改正後の指針とコメントの概要及び対応を公表したと記されています。

掲載されている資料は、前書文、新旧対照表、本文(PDFとWord)、コメント対応表、補足説明資料の6点です。改正の主な点は補足説明資料に整理されているとページに書かれており、コメントへの対応のほか、字句などの軽微な修正も行われたとのことです。委員会報告等の閲覧には、協会の著作権規約への同意が必要で、複製や転載には事前の許諾が求められます。そのため、本記事では資料の文章を引用せず、ページに書かれた事実の整理にとどめています。

改正の背景にある2つの動き

同ページは、改正の背景を会計面と制度面に分けて示しています。会計面では、2025年3月11日に改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」が公表されました。これにより、一定の要件を満たす場合、組合員は、組合等の構成資産に含まれる市場価格のない株式を時価で評価し、その評価額を組合等への出資者の会計処理の基礎とすることが認められるようになりました。ただし、出資者である企業の子会社株式及び関連会社株式は除かれています。

制度面では、2025年6月23日に経済産業省が「投資事業有限責任組合契約(例)及びその解説(令和7年度版)」を公表しました。協会は、こうした動きを受けて、組合員の財務情報に対するニーズや業界の実務との整合性を図るために指針を見直したと説明しています。会計基準側の整理と、組合契約のひな型側の整理が前後して出そろい、そのあとに監査・会計の実務指針が追随した、という時系列です。

公開草案からの流れ

今回の改正は、公開草案を経て確定しています。ページによると、公開草案は2026年8月21日から9月18日まで公開され、広く意見が募集されました。その後、2026年10月7日の常務理事会の承認を経て、10月16日に確定版が公表されています。公開草案から確定版までの期間は、募集期間の終了日から数えて、常務理事会の承認まで約3週間、公表まで約4週間です。日付はいずれも上記の協会ページに記載されたものです。

寄せられたコメントの概要と協会の対応は、コメント対応表として公開されています。公開草案の段階と確定版でどの点が変わったのかを知りたい場合は、新旧対照表とコメント対応表を合わせて見る進め方があります。

士業事務所にとっての論点

この指針は、投資事業有限責任組合の会計や監査を扱う場面で参照される実務指針です。公認会計士にとっては、組合の財務諸表の作成や監査の場面で、組合員の財務情報へのニーズをどう反映するかが論点になります。出資者側では、市場価格のない株式を時価評価した評価額を出資の会計処理の基礎とできる枠組みが、2025年に金融商品会計の実務指針で整えられました。出資者の経理を支える税理士や、決算を支援する事務所でも、組合から受け取る財務情報の形が変わる可能性を意識しておく場面が出てくるかもしれません。

ただし、改正後の指針の適用時期や具体的な改正項目は、本記事の作成時点で確認できていません。要確認の事項として、適用開始の時期、新旧対照表に示された変更点、補足説明資料に整理された主な改正点が挙げられます。これらは協会の公表ページから入手できる資料で、個別の事案への当てはめは原典を確認したうえで行う段階です。

今後の確認ポイント

確認の段階として、次のような運用を採る事務所があります。まず、協会ページから前書文と新旧対照表を入手し、自分の関与先に関係する改正箇所を確認します。次に、補足説明資料で改正の趣旨を確認します。さらに、経済産業省が公表した令和7年度版の組合契約(例)とその解説を、組合側の契約書式の確認材料として並べて見る方法もあります。いずれも、確定した原典に当たることが前提です。

また、公開草案の段階の資料は協会の公開草案・論点整理の一覧ページから探せます。草案と確定版を見比べる際は、コメント対応表に書かれた協会の考え方も確認材料になります。

まとめ

日本公認会計士協会は2026年10月16日、実務指針第38号の改正を公表しました。背景には、2025年3月11日の金融商品会計に関する実務指針の改正と、2025年6月23日の経済産業省による組合契約(例)令和7年度版の公表があります。公開草案は2026年8月21日から9月18日まで意見募集が行われ、2026年10月7日の常務理事会の承認を経て確定しました。改正の個別項目と適用時期は、協会の公表資料で確認する段階です。

参考文献

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引用元: 日本公認会計士協会

本記事の作成体制について

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。

本記事には特定の資格者による監修は入っていません。個別の事案について法令の当てはめや手続の可否を判断する必要がある場合は、当該分野の有資格者にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な法律判断・税務判断・労務判断を提供するものではありません。

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