国税庁告示第15号とは、電帳法施行規則に関わる書類を定めた告示の改正のことです。
告示が改正されたと聞いたとき、顧問先への案内文を作る前に、まず原文を開いているでしょうか。この記事では、国税庁告示第15号を題材に、告示の原文を確認し、顧問先向けの説明資料を生成AIで下書きして有資格者が仕上げるまでを、7手順で整理します。本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で確認しています。なお、改正内容が個々の顧問先に与える影響の評価は、本記事では行いません。有資格者の業務です。
国税庁告示第15号について原文から確認できること
まず、公表されている事実だけを整理します。TKCの会員向け情報によると、令和8年4月6日に国税庁ホームページで、国税庁告示第15号が公表されました(出典: TKCエクスプレス 2026年4月)。告示の名称は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第2条第7項に規定する国税庁長官が定める書類を定める件の一部を改正する件です。
国税庁の告示ページを確認すると、告示番号は国税庁告示第15号で、日付は令和8年3月31日、発出者は国税庁長官です。同ページには、令和8年4月1日から適用する旨が記載されています(要確認: 告示本文の表記は原文で照合してください)(出典: 国税庁 国税庁告示第15号)。公表日が4月6日、告示の日付が3月31日、適用が4月1日という3つの日付が並ぶため、顧問先への説明では日付の使い分けに注意が要ります。
改正の対象は、平成17年国税庁告示第4号です。新旧対照表では、第4号として、法人税法施行規則の第59条の2第1項及び第67条の2第1項に規定する特定事項記載書類が追加され、従来の第4号は第5号に繰り下がる構成になっています(出典: 国税庁 国税庁告示第15号)。TKCの記載には改正の具体的な内容は含まれていないため、中身は国税庁の原文で確認することになります。
告示が引用している条文を e-Gov で引き直す
告示が引いている条文は、e-Gov法令検索で確認できます。法人税法施行規則第59条の2の条見出しは、関連者間取引に係る書類の整理保存の特例です。また法人税法施行規則第67条の2の条見出しも、関連者間取引に係る書類の整理保存の特例です。
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第2条の見出しは、国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等です。告示の名称が指す第2条第7項の本文は、e-Govの原文で直接確認してください。本記事は、第7項の内容の要約を行いません。
法律の側では、電子帳簿保存法第4条が国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等を、同法第7条が電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存を扱っています。この告示が両者のどこに位置づけられるのかは、条文の構造を読んで確認する作業です。生成AIに条文の関係を説明させる場合は、後述するように原文を貼り付けて整理だけを依頼します。
原文確認から説明資料まで 7手順
手順1 告示本文と新旧対照表を保存する
国税庁の告示ページを開き、本文と新旧対照表を事務所の共有フォルダに保存します。保存の際は、取得日と取得元URLをファイル名か備考に残します。後日ページが更新されても、当時の版を示せるようにするためです。
手順2 告示番号と日付の3点を整理する
公表日、告示の日付、適用日の3点を、1行ずつ整理します。国税庁の原文に基づく日付と、TKCなど二次情報に基づく日付を、列を分けて書きます。食い違いがあれば、原文を優先し、要確認と注記します。
手順3 引用された条文を e-Gov で引き直す
告示が引く法人税法施行規則などの条文は、条番号と見出しをe-Govで確認して控えます。記憶や二次情報の条番号は使いません。
手順4 原文を貼り付けて論点の候補を整理させる
次のプロンプトは、原文の貼り付けを前提に、論点の洗い出しだけを依頼する例です。評価や当てはめは依頼しません。
以下は、国税庁告示の本文と新旧対照表です。次の3点だけを整理してください。
1. 改正前と改正後で文言が異なる箇所を、箇条書きで並べる
2. 告示本文に引用されている法令名と条番号を、出現順に並べる
3. 本文だけでは意味が確定できない点を、質問の形で並べる
本文にない情報は補わず、評価や当てはめは行わないでください。不明な点は「要確認」と書いてください。
【告示本文】
(ここに貼り付ける)
手順5 顧問先向け説明資料の下書きを作る
手順4の整理結果と、手順3で控えた条文情報をもとに、説明資料の下書きを作ります。次のプロンプトは、顧問先の実名を入れず、架空のA社として書く例です。
次の整理結果をもとに、顧問先A社の経理担当者向けの説明資料の下書きを作ってください。構成は、公表された事実、日付の整理、確認が必要な点、事務所への問い合わせ先の4つです。事実の欄には、整理結果にある内容だけを書き、推測は「要確認」と明記してください。法令の解釈や、A社への当てはめは書かないでください。
【整理結果】
(ここに手順4の出力を貼り付ける)
手順6 有資格者が原文と照合して仕上げる
下書きの全文を、有資格者が国税庁の原文とe-Govの条文に照らして確認します。照合の観点は、日付、告示番号、条番号、条見出しの4点です。ここで一つでも原文と合わない箇所があれば、下書きを直します。
手順7 顧問先ごとの影響評価は別工程にする
説明資料は、公表された事実の共有までに留めます。個々の顧問先に関わる影響の評価は、有資格者が顧問先の状況を踏まえて行う別の工程です。資料の末尾に、個別の相談は事務所に問い合わせる旨を入れておく運用があります。
資料作成で外部AIに入力してよい情報の線引き
この題材は、公表済みの告示です。公表済みの情報だけを入力するなら、顧問先の秘密に触れません。一方、顧問先の会計データや契約内容を入力する場合は、別の検討が要ります。
税理士の守秘義務の根拠は、税理士法第38条(秘密を守る義務)にあります。同条は、正当な理由がなくて税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならないと定めています。外部のAIへの入力がこの条文との関係でどう扱われるかは、個別の事情で判断が分かれるため、本記事は当てはめを行いません。
運用の例として、説明資料の下書きには公表情報だけを入力する、顧問先ごとの影響評価の段階で初めて顧問先情報を扱うが、その際は契約済みの環境に限る、という二段階の線引きがあります。個人情報保護委員会も、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています(出典: 個人情報保護委員会 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について)。事務所規程にどう書くかは、各事務所で検討してください。
失敗例と回避策
一つ目の失敗は、二次情報の日付をそのまま使う例です。公表日の4月6日を適用日と取り違えて案内すると、顧問先との認識がずれます。回避策は、手順2で3つの日付を分けて整理することです。
二つ目の失敗は、生成AIが条文の要約を作り、それを原文と照合せずに載せる例です。条の趣旨を言い換えた文章が、原文の意味とずれる可能性があります。回避策は、条文の要約を資料に載せず、条番号と見出しと原文へのリンクだけを載せる運用です。
三つ目の失敗は、告示の改正を顧問先全社に一斉に案内する例です。改正の影響は顧問先ごとに異なる可能性があり、一斉案内が混乱を招くことも考えられます。回避策は、手順7のとおり、事実の共有と個別の影響評価を分けることです。
費用と工数と体制
この手順に必要な費用は、すでに契約している生成AIの利用料の範囲に収まります。追加のツールは要りません。工数は、原文の保存と日付整理、プロンプトでの整理、有資格者の照合に分かれます。編集部の見立てでは、有資格者の照合が最も時間を要する工程です。実際の工数は、事務所で実測してください(出典: 編集部の見立て、一次情報なし)。
体制は、原文の保存と下書き作成を事務スタッフが担い、照合と最終判断を有資格者が担う分担が考えられます。担当者と確認者を分け、確認の記録を残すことで、後から確認の経緯を示せます。
今後の展望と編集部の考察
告示や通達の改正は、年間を通して断続的に出ます。そのたびに顧問先向けの案内を一から作ると、負担が積み上がります。原文の保存、日付の3点整理、条文の引き直し、下書き、照合という型を決めておけば、改正の種類が変わっても使い回せます。
今後の論点は、公表から顧問先への案内までの時間を、確認の質を落とさずにどこまで縮められるかです。生成AIは整理と下書きに使い、原文との照合は人が行う、という分担が現実的な運用だと編集部は考えています。
よくある質問
告示の内容を要約してもらうのは、生成AIでよいですか
要約の作成は、生成AIに任せる運用もあります。ただし、要約が原文と一致しているかの照合は有資格者が行う前提です。本記事では、要約ではなく、変更箇所の並べ出しを依頼する形にしています。
公表日と適用日のどちらを顧問先に伝えますか
両方を分けて伝える方法があります。国税庁の原文では、令和8年4月1日から適用すると記載されています(出典: 国税庁 国税庁告示第15号)。公表日は二次情報で確認した日付であり、要確認の扱いです。
特定事項記載書類の中身も説明資料に入れますか
本記事では、告示の新旧対照表に記載された事実の紹介に留めています。中身の説明は、法人税法施行規則の原文に当たったうえで、有資格者が判断する事項です。
顧問先の資料をAIに入れて影響を調べてもよいですか
守秘義務との関係は、個別の事情で判断が分かれます。本記事は当てはめを行いません。契約済みの環境かどうか、顧問先への説明を済ませているかを、事務所規程に照らして確認する運用があります。
他の告示にも同じ手順を使えますか
手順1から3は、他の告示や通達にも使えます。ただし、改正の内容や参照する条文は異なるため、手順4以降は個別に調整してください。
参考文献
- 国税庁 国税庁告示第15号
- TKCエクスプレス 2026年4月
- e-Gov法令検索 電子帳簿保存法
- e-Gov法令検索 法人税法施行規則
- 個人情報保護委員会 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について
関連記事: 電子帳簿保存法とAIの対応整理、TKC FX OMSエージェント導入の検証7項目
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本記事の作成体制について
本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。
本記事には特定の資格者による監修は入っていません。個別の事案について法令の当てはめや手続の可否を判断する必要がある場合は、当該分野の有資格者にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な法律判断・税務判断・労務判断を提供するものではありません。
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