米控訴裁、Anthropicへの国防総省リスク指定を2対1で支持

米連邦控訴裁は2026年9月25日、Anthropicへの国防総省の供給チェーンリスク指定を2対1で支持しました。AI企業の安全方針と政府調達が対立した事例で、士業事務所が確認すべき論点を解説します。

米控訴裁、Anthropicへの国防総省リスク指定を2対1で支持

米連邦控訴裁判所は、国防総省によるAnthropicのリスク指定を支持しました。

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報および複数の報道機関の記事を根拠に作成しています。米連邦控訴裁判所(コロンビア特別区巡回区)は2026年9月25日、米国防総省がAnthropicを「国家安全保障上の供給チェーンリスク」に指定した措置について、2対1の判断でこれを有効と認めました。海外メディアABC NewsとThe Decoderがこの判断を報じています。AIベンダーの安全方針と政府調達の要求が正面から対立した事例として、事務所が顧客企業のベンダー選定を助言する際の論点にもなり得ます。

何が起きたか

報道によると、米国防総省は2026年2月27日、Anthropicを「国家安全保障上の供給チェーンリスク」に指定しました。ヘグセス国防長官はこの指定について、Anthropicが自律型兵器や大量監視へのモデル利用の制限を「イデオロギー的」な立場から続けていることを問題視したと伝えられています。Anthropicはこの指定を不服として、コロンビア特別区巡回控訴裁判所(事件番号26-1049)に審査を申し立て、指定が報復的であり、言論の自由や適正手続きに関わる憲法上の権利を侵害し、恣意的だと主張していました。ABC Newsによると、2026年9月25日に下された判断は2対1で、多数意見はClaudeに組み込まれた利用制限と未解決の契約紛争により軍事作戦での信頼性が低下し得ると判断し、Anthropic側の主張を退けました。ヘンダーソン判事は反対意見で、契約者が誠実に利用制限を実施すること自体は供給チェーンリスクとみなすべきではないとの立場を示しています。

なぜ重要か、士業事務所への示唆

この判断が注目されるのは、AI企業が自ら定める安全方針(兵器転用や監視目的での利用制限など)と、政府側が求める利用の自由度が正面から衝突し、司法の場で争われた初めての事例に近いためです。The Decoderの報道では、8月にサンフランシスコの連邦地方裁判所がAnthropicに有利な判断を示していたことも伝えられており、同じ論点について異なる裁判所が異なる結論を出す状況が生まれています。士業事務所にとっても、官公庁や地方自治体向けの案件で生成AIベンダーを推薦・選定する場面が今後増えることが見込まれます。ベンダーが表明する利用制限や安全方針が、調達先の政府機関の要求と食い違った場合に契約や指定がどう扱われるかは、今回のように法域や裁判所によって判断が割れ得る論点だと分かります。顧問先が公共調達に関わる場合は、契約書にベンダーの規制上の地位が変動した際の扱いを盛り込んでおくといった対応を検討する事務所も出てきそうです。

今後の動き

Anthropicはこの指定により数十億ドル規模の損失を被ったと主張していると報じられており、IPO準備への影響も取り沙汰されています。サンフランシスコの連邦地裁判断との整合性をどう取るかは今後の焦点で、Anthropicが上訴やコロンビア特別区巡回区全体での再審理を求める可能性も含め、事態はまだ決着していません。ヘグセス長官は今回の判断について、国家安全保障を損なう対応は取らない考えを示したと伝えられており、政府とAI企業の緊張関係はしばらく続きそうです。

まとめ

米連邦控訴裁判所は2026年9月25日、国防総省がAnthropicを供給チェーンリスクに指定した措置を2対1で支持しました。サンフランシスコの連邦地裁が8月に逆の判断を示していたこともあり、AI企業の安全方針と政府調達の要求を巡る法的な扱いは定まっていません。公共調達にAIベンダーを推薦する際は、こうした法的リスクの所在を確認しておく必要がありそうです。

参考文献

※士業のチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴事務所の業務に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://shigyonochikara.jp/contact/

引用元: The Decoder

本記事の作成体制について

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。

本記事には特定の資格者による監修は入っていません。個別の事案について法令の当てはめや手続の可否を判断する必要がある場合は、当該分野の有資格者にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な法律判断・税務判断・労務判断を提供するものではありません。

記載内容に誤りを見つけられた場合は、お問い合わせよりご指摘ください。確認のうえ速やかに訂正し、訂正履歴を記事内に残します。編集方針の詳細は運営者情報をご覧ください。