Anthropicの4〜6月期売上がOpenAIを初めて上回りました。
生成AIの二大ベンダーの力関係が、四半期の売上高という数字ではっきり動きました。決済メディアのPYMNTSが2026年8月18日に伝えたところによると、Anthropicの2026年4〜6月期の売上高がOpenAIを初めて上回ったとされています。ただしこの数字は両社の正式な開示ではなく、The Wall Street Journalが関係者から得た情報として報じたものです。士業事務所にとっては、どのAIを業務基盤に据えるかという選定判断に関わる材料になります。

何が起きたか:四半期売上の逆転と収益構造の差
報じられた数字は、Anthropicの2026年4〜6月期売上高が116億ドル、OpenAIが67億ドルというものです。OpenAIの67億ドルは前四半期の57億ドルから18パーセントの増加で、成長は続いているものの伸び率は緩やかでした。一方のAnthropicは前四半期の47億ドル台から倍以上に伸びた計算になります。いずれもPYMNTSがThe Wall Street Journalの報道として伝えた数字です。
金額差以上に目を引くのが収益構造です。同報道によれば、Anthropicは同じ四半期に小幅ながら営業段階での黒字を計上したとされています。Bloombergが8月14日に報じた内容でも、同社は投資家向けに四半期売上の暫定値が115億ドルを超え、調整後の営業損益がプラスになったと説明しています。2025年の同じ四半期の売上が7億8,700万ドルだったことを踏まえると、1年で14倍を超える伸びということになります。
逆転の要因として各報道が共通して挙げているのが、コーディング支援ツールClaude Codeの法人需要と、ChatGPTの伸びの鈍化です。個人向けチャットの利用者数を積み上げるモデルから、業務システムに組み込まれる従量課金へと、市場の重心が移りつつあることを示す数字と読めます。
なぜ重要か:ベンダーの財務体力は事務所の業務基盤に直結する
この話をAI業界の勢力争いとして眺めるだけでは、士業事務所にとっての意味を取り逃します。重要なのは、選んだベンダーが数年単位で事業を続けられるかどうかが、事務所の業務フローの寿命に直結する点です。
契約書レビューの下書き、議事要旨の要約、申告書類のチェックリスト生成といった業務にAIを組み込むと、プロンプトの型、職員向けの手順書、研修の内容までが特定のモデルの挙動を前提に固まっていきます。ベンダーが値上げやプラン改廃に踏み切ったとき、あるいは事業体制が変わったときに、その蓄積がまるごと作り直しになる可能性があります。今回の数字は、少なくとも上位2社が当面の収益基盤を確保しつつある局面に入ったことを示す一方で、AnthropicとOpenAIのいずれも株式公開に向けた手続きを進めている段階であり、上場後に価格政策が変わる余地は残ります。PYMNTSによれば両社とも上場に向けた書類を非公開で提出済みで、Anthropicは早ければこの秋にも市場に出る可能性があるとBloombergが伝えています。
もうひとつ、士業に固有の論点としてデータの取り扱いがあります。今回報じられたのは業績数値だけで、入力データを学習に用いるかどうかの条件に変更があったという情報は、確認できた公表資料の範囲では見当たりません。この点は各社の商用向け利用条件で個別に定められており、無料プランと法人向けプランで扱いが異なる場合もあります。依頼者情報を含むデータを扱う事務所では、報道の数字とは切り離して、契約するプランの最新の条件を自分で読み直す作業が要ります。
今後の動き:注目すべき3つのポイント
第一に、OpenAI側の反転があるかどうかです。同社は7月に投入した新モデルを受けて、現四半期は成長率が加速していると投資家に説明したと報じられています。次の四半期の数字が出れば、今回の逆転が一時的なものか構造的なものかの判断材料が増えます。
第二に、法人向けの実装がどちらに寄るかです。売上の伸びを牽引したのがコーディング用途である以上、文書業務や監査業務といった士業に近い領域で同じ差がつくとは限りません。事務所としては、自分たちの用途に近いベンダー事例が積み上がっているかを見る視点が要ります。
第三に、上場後の価格政策です。株式公開を経た企業は、収益性への外部圧力を受けやすくなります。無料枠や低価格プランの見直しが起きたときに事務所の運用が止まらないよう、複数ベンダーを並行して評価しておく運用を採る事務所も出てきています。
まとめ
Anthropicの2026年4〜6月期売上がOpenAIを初めて上回ったと報じられました。数字は正式開示ではない点に留意が必要ですが、AIベンダーの収益構造が個人向けから法人業務向けへ移りつつある兆候といえます。士業事務所にとっては、業務基盤としての継続性、用途との適合、上場後の価格政策という3点を見ながら選定する局面です。
参考文献
- PYMNTS「Anthropic Beats OpenAI in Revenue for First Time」
- The Wall Street Journal「OpenAI’s Second-Quarter Sales Show Tepid Growth Compared With Anthropic」
- Bloomberg「Anthropic Revenue Ahead of IPO Surges Over 14-Fold in Second Quarter」
- Quartz「Anthropic surpasses OpenAI in Q2 revenue for the first time」
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引用元: PYMNTS
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