カスハラ対策義務化2026年10月1日、社労士が顧問先と踏む就業規則整備7手順

カスハラ対策義務化の施行に向けて、社労士が顧問先の就業規則と相談体制を整える7手順、生成AIの噛ませどころ、守秘義務の線引きを一次情報で整理しました。

カスハラ対策義務化2026年10月1日、社労士が顧問先と踏む就業規則整備7手順

カスハラ対策義務化とは、顧客等の言動から従業員を守る措置を事業主に求める制度のことです。

改正労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメント防止措置が事業主の義務となる日が近づいています。本稿では、施行までに顧問先の就業規則と相談体制をどう整えるか、その工程のどこに生成AIを噛ませられるかを、社会保険労務士の実務目線で分解します。本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で確認しています。根拠となる改正法は令和7年法律第63号として公布され、カスタマーハラスメント防止措置の施行日は令和8年10月1日と示されています(出典: 厚生労働省 令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について)。

施行日に何が変わるのか、法律と指針の二階建てで押さえる

最初に構造を押さえます。今回の義務化は、法律本体の改正と、厚生労働大臣が定める指針の二階建てで組み立てられています。法律が事業主に雇用管理上の措置を求める枠を作り、指針がその措置の具体的な内容を埋める。この構造は、すでに施行済みのパワーハラスメント対策とおおむね同じ形です。

既存の枠組みを見ておくと理解が早くなります。労働施策総合推進法第30条の2は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動によって労働者の就業環境が害されることのないよう、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講ずることを事業主に求める規定です。同条は、相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止と、厚生労働大臣が指針を定めることもあわせて置いています(原文は e-Gov法令検索 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 で確認できます)。カスタマーハラスメントについても、措置義務と不利益取扱いの禁止、そして指針という同じ型で規律が置かれることが、厚生労働省の公表資料から読み取れます。

指針についても公表が進んでいます。カスタマーハラスメント防止指針と、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針が令和8年2月26日に公布され、事業主が講ずべき措置等の内容が令和8年厚生労働省告示第51号として示されています(出典: 厚生労働省 令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます)。指針の公布から施行まで半年以上の期間が置かれている点は、顧問先への説明で使える材料です。準備期間はすでに終盤に入っている、という言い方ができます。

実効性の担保手段も既存の枠組みの中にあります。同法第33条は、厚生労働大臣が法の施行に関し必要があると認めるときに事業主へ助言、指導または勧告をすることができると定め、あわせて、措置義務等に違反している事業主が勧告に従わなかったときにその旨を公表することができると定めています。罰金ではなく行政指導と公表で担保する建て付けです。顧問先の経営層には、罰則が飛んでくる話ではないものの、勧告に従わなかった事実の公表という形で評判に直結しうる設計になっている、という整理で伝えるほうが実態に近くなります。

対象となる事業主の範囲も、顧問先から高い頻度で聞かれる論点です。労働者を雇用するすべての事業主が対象で、中小企業向けの猶予期間は置かれていない、という整理が社会保険労務士事務所などの解説で共通して示されています(参考: 社会保険労務士法人第一綜合事務所の解説記事)。パワーハラスメントの義務化では中小企業に猶予期間が置かれた経緯があるため、顧問先が同じ前提で構えている可能性があります。ここは二次情報で済ませず、厚生労働省の資料と指針の原文で該当箇所を確認したうえで回答する場面です。

社労士にとっての実務的な意味は明快です。就業規則の見直し、相談窓口の設置と周知、対応マニュアルの整備、管理職向けの教育という四点が、顧問先ごとに施行日までに形になっている状態を作ることになります。顧問先が20社あれば、この四点が20通り並びます(件数は各事務所の顧問先数を根拠に置き換えてください)。ここが生成AIを噛ませる価値の最も大きい領域です。

顧問先の就業規則をカスハラ対応に作り替える7手順と、AIの噛ませどころ

ここからが本題です。顧問先1社あたりの標準工程を7段階に分け、各段階で何を入力し何が返るか、どこを有資格者が最終判断するかを示します(工程の分け方は筆者が実務上の作業単位を根拠に区切ったものです)。前提として、生成AIが出すのは常に下書きであり、顧問先に渡す成果物としての最終確認は社会保険労務士が行う、という線引きを工程の中に固定します。

第1手順は現状の棚卸しです。顧問先の現行就業規則、ハラスメント防止規程、相談窓口の運用実態、過去の顧客クレーム対応記録の有無を洗い出します。生成AIに現行規程のテキストを入力し、ハラスメントの語が出てくる条項、相談体制に関する条項、不利益取扱いの禁止の記述という観点で抽出させると、分量のある規程でも論点が短時間で並びます。ここで返ってくるのは事実の抽出であって評価ではありません。評価は社労士が行います。

第2手順は業種別のリスク特定です。小売、飲食、介護、コールセンター、自治体窓口では、想定される顧客等の言動の型がまったく違います。顧問先の業種と接客形態を入力して、想定される具体的な言動を洗い出させます。ここで出てきたものをそのまま規程に書くのではなく、顧問先の現場責任者にぶつけて実際に起きているものだけを残します。AIの役割は網羅的な叩き台の生成で、取捨選択は現場と社労士が担います。

第3手順が就業規則および防止規程の条文案の作成です。既存のハラスメント防止規程がある顧問先では、社内のハラスメントだけを対象にしている記述を、顧客等からの言動にも及ぶ形へ広げる改定が中心になります。相談体制、相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止、事実確認の手順、従業員保護のための対応措置を条文として並べます。生成AIには、複数案を同じ文体で揃えて出させる役割を担わせるのが向いています。

第4手順は相談窓口の設計です。窓口担当者、受付方法、記録様式、エスカレーション基準、外部専門家への接続をどうするかを決めます。顧問先が10人規模の事業所であれば社内に専任窓口を置く余力はないため、総務担当者が兼務し、一定基準を超えたら社労士事務所と顧問弁護士へ上げる設計が現実的です(規模の想定は筆者が中小事業所の一般的な体制を根拠に置いた例です)。ここで作る記録様式が、次節の守秘義務の論点に直結します。

第5手順が対応マニュアルの作成です。電話、対面、メール、SNSという接触チャネルごとに、どの段階で対応を打ち切るか、どの段階で複数名対応に切り替えるか、どの段階で記録を残すかを決めます。厚生労働省はカスタマーハラスメント対策企業マニュアルを公表しており、令和8年度改訂版が示されています(出典: 厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版))。一次情報の構成を骨格に置き、顧問先の実情で肉付けする進め方が安全です。

第6手順は周知と教育です。従業員への周知文、管理職向けの研修資料、朝礼で読み上げる短い説明文の三種類を作ります。分量が出る割に定型性が高く、生成AIの出力を骨格としてそのまま活かせる部分が多い領域です。

第7手順が有資格者による最終確認と顧問先への説明です。条文案の整合性、労働基準監督署への届出の要否、就業規則変更にともなう意見聴取の段取りを社会保険労務士が確認し、経営層に説明します。この工程は省略できません。ここまでの6手順で生成AIが作ったものはすべて下書きであり、顧問先に対して責任を持てる成果物に変えるのが第7手順です。

第1手順と第3手順で使えるプロンプト例を示します。実在の顧問先名や個人名は入れず、架空の表記に置き換えて使ってください。

あなたは就業規則の構成を整理する補助ツールです。以下の規程テキストについて、
評価や法的判断は一切行わず、事実の抽出のみを行ってください。

【抽出してほしい観点】
1. ハラスメントの語が出現する条項番号と、その対象範囲(社内のみ/社外を含む)
2. 相談窓口に関する記述の有無と、その条項番号
3. 相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止に関する記述の有無
4. 顧客・取引先など社外の者による言動に言及している箇所

【出力形式】
観点ごとに 条項番号 / 該当する原文の引用(20字以内) / 記述がない場合はその旨

【規程テキスト】
(ここに顧問先名を伏せた規程本文を貼り付け)
あなたは社内規程の文案作成を補助するツールです。以下の条件で、
就業規則に追加する条文案を3パターン作成してください。
法的な当否の判断は不要です。文案のみを出してください。

【前提】
- 対象事業所: 従業員35名の小売業(架空のA社)、店舗接客あり、電話問い合わせ窓口あり
- 既存規程: 社内のハラスメント防止規程はあるが、社外の者による言動は対象外
- 追加したい要素: 顧客等の言動への対応、相談体制、相談者への不利益取扱いの禁止、
  事実確認の手順、従業員の保護措置

【出力条件】
- 各パターンは3条以内、1条は200字以内
- 文体はである調に揃える
- 具体的な処分や罰則の記載は入れない
- パターンごとに、想定する事業所規模を1行で添える

7手順を通すと、顧問先1社あたりの成果物は、就業規則の変更案、防止規程の条文案、相談窓口の運用手順書、対応マニュアル、従業員周知文、管理職研修資料の6点になります(成果物の点数は本稿の工程設計を根拠にした整理です)。生成AIを第1手順から第6手順に噛ませると、社労士の手は第2手順の取捨選択、第4手順の設計判断、第7手順の最終確認に集中させられます。

顧問先の相談記録をAIに入れる前に決めておく3つのこと

ここが最も注意を要する節です。カスハラ対応の相談記録には、従業員の氏名、顧客の氏名や連絡先、具体的な言動の内容が含まれます。健康状態や精神的な不調に関する記述が混じることもあります。これを生成AIにそのまま入力する運用を、事務所として線引きを持たないまま始めるのは危険です。

第一に、社会保険労務士自身の守秘義務との関係です。社会保険労務士法第21条は、開業社会保険労務士または社会保険労務士法人の社員が、正当な理由なく業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、または盗用することを禁じ、その義務が業務を離れた後も続くことを定めています(原文は e-Gov法令検索 社会保険労務士法 で確認できます)。顧問先から預かった相談記録は、まさに業務に関して知り得た秘密の典型です。外部のクラウドサービスへの入力をどう評価するかは、利用するサービスの契約内容、データの取扱い、事務所内の管理体制によって判断が分かれうる論点であり、事務所として自ら整理して答えを持つ領域になります。クラウドAIなら心配ないという趣旨の解説を鵜呑みにせず、自事務所が契約しているプランの規約原文に当たるのが出発点です。

第二に、ベンダーのデータ利用ポリシーの確認です。同じサービスでも、個人向けプラン、法人向けプラン、APIで扱いが異なります。入力データがモデルの学習に使われるか、使われないとしてどの期間保持されるか、保持されたデータに誰がアクセスしうるか、データの所在地はどこか。この四点は契約前に押さえる項目で、ベンダーの公式ドキュメントで確認します。たとえばAnthropicは利用プランと料金体系を Claude Platform Docs で公開しており、他社も同様に公式ドキュメントを備えています。営業資料の要約ではなく原文に当たる姿勢が、ここでは効きます。

第三に、顧問先への説明と同意です。顧問先の相談記録を事務所の業務でAIに投入するなら、その事実を顧問先が知らない状態は望ましくありません。顧問契約の枠内でAI利用の範囲を書面化しておくと、後から論点になったときに双方を守れます。書き方としては、投入するデータの種類、利用するサービス名とプラン、学習利用の有無、事務所内でのアクセス権者、記録の保存期間と削除手順を列挙する形が実務的です。

この三点を踏まえて多くの事務所が取っている現実的な運用が、入力前の非識別化です。顧客の氏名は甲、従業員は乙、店舗名はA店に置き換え、日付は月単位に丸め、連絡先や住所は落とす。この置換作業自体は機械的なので、事務所内の手順書として固定できます。相談記録の原本は事務所の管理下に置き、AIに渡すのは非識別化した抜粋だけ、という二層構造にすると、第一の論点の負荷がかなり下がります。

事務所規程に落とすなら、運用例として次の要素が考えられます。AIに投入してよい情報の種類と、投入を避ける情報の種類を列挙すること。利用を認めるサービスとプランを指定し、それ以外の個人アカウント利用を認めないこと。投入時は非識別化手順を通すこと。誰がいつ何を投入したかを記録すること。顧問先から個別に投入を断られた場合の運用を決めておくこと。事務所規程の作り込み方は生成AI利用ガイドラインを事務所規程に落とす7項目でも扱っています。

なお、カスハラ相談記録の保存期間そのものも決めておく論点です。相談対応の経緯を残すことは体制整備の一部ですが、残しすぎれば漏えい時の被害が大きくなります。面談記録や音声データの保存期間の考え方は顧問先の音声データ保存期間と削除ルールの設計で整理しました。

施行直前の駆け込み対応で起きやすい3つの失敗

失敗の型はおおむね決まっています。三つ挙げます(類型は筆者が事務所支援の現場で見た事例を根拠にした整理です)。

一つ目は、生成AIが出した条文案に、存在しない条番号や告示番号が紛れ込むケースです。規程案の中で根拠条文を引きたくなりますが、生成AIは条番号をもっともらしく捏造します。改正法の施行前は、e-Gov法令検索に掲載されている条文が改正前のものである場合があり、混乱が起きやすい局面です。条番号を書くならe-Gov法令検索で該当条文を開いて確認する。確認できないなら条番号を書かず、改正労働施策総合推進法および指針に基づき、という書き方にとどめる。この単純な原則で防げます。

二つ目は、雛形の使い回しによる不整合です。顧問先A社向けに作った条文案をB社に流用したとき、A社にしかない部署名や窓口名が残り、B社の既存規程と条番号が衝突します。生成AIで量産できるようになると、この事故は増えます。対策は、顧問先ごとに第1手順の棚卸し結果を先に作り、条文案の生成時に既存規程の条番号体系を入力条件として渡すことです。

三つ目は、就業規則の変更手続そのものの失念です。条文案ができた時点で仕事が終わった気分になりますが、労働者代表からの意見聴取と労働基準監督署への届出という手続が残ります。施行日に間に合わせるなら、逆算して条文案を確定させ、意見聴取の日程を顧問先の担当者と押さえておく段取りになります。ここは生成AIが肩代わりできない領域で、顧問先ごとの進捗表を人力で管理するのが確実な方法です。労働時間まわりの制度対応でも同じ構図が起きます。連続勤務規制と勤務間インターバルの実務6手順でも、条文案より手続の段取りが律速になる点を扱いました。

7手順にかかる工数と、顧問料にどう載せるか

工数感を置きます。以下はいずれも筆者が標準的な中小事業所を想定して置いた値であり、根拠は各事務所の実測ログに置き換えてください。第1手順の棚卸しが1社あたり0.5時間、第2手順のリスク特定が現場ヒアリング込みで1.5時間、第3手順の条文案作成が生成AI併用で1時間、第4手順の相談窓口設計が1時間、第5手順の対応マニュアルが1.5時間、第6手順の周知教育資料が0.5時間、第7手順の最終確認と説明が2時間。合計で8時間前後になります。

生成AIを使わない場合、第3手順と第5手順と第6手順で合計4時間程度は上振れする想定です(この差分も筆者の想定値であり、根拠は実測に置き換えてください)。顧問先が20社あれば、削減幅は80時間規模に相当します。時間単価を掛ければ、そのまま導入判断の材料になります。

費用面では、事務所として使う生成AIの月額が主たるコストです。主要ベンダーはいずれも個人向けプランと法人向けプランを用意しており、顧問先データを扱う前提なら法人向けを選ぶ判断になります。API利用を組み合わせる場合のトークン単価は、Claude Platform Docs のような公式の料金ページで確認します。

顧問料への載せ方は事務所の方針次第ですが、月額顧問料に含める形と、施行対応のスポット業務として切り出す形の二択が一般的です。切り出す場合、成果物6点をパッケージとして提示すると顧問先が判断しやすくなります。工程を7段階に分けて見せられること自体が、価格の説明力になります。

施行後1年で論点になること

施行はゴールではなく起点です。運用が始まってから論点になるものを三つ挙げます。

第一に、相談窓口に上がった事案の記録と、その保存および削除の運用です。体制整備の実効性は記録で示されるため、記録を残す方向に力が働きます。一方で、記録が個人情報の塊である以上、保存期間と削除手順を決めていない事務所と顧問先は、漏えい時の被害を自分で大きくすることになります。個人情報保護法は令和8年に改正法が公布され、課徴金制度の導入など執行面の強化が含まれています(出典: 個人情報保護委員会 令和8年 改正個人情報保護法について)。記録の持ち方は、この流れとあわせて設計する論点になります。

第二に、対応の打ち切り基準です。指針や企業マニュアルは考え方の枠を示しますが、目の前の顧客の言動がどこまで許容範囲かの判断は現場に降りてきます。現場が判断に迷って個別に社労士へ照会してくる頻度は、施行後しばらく上がると見込まれます。

第三に、生成AIを使った一次対応の可否です。電話やチャットの一次応対をAIに任せる企業が増えれば、従業員が直接罵倒を浴びる機会は減ります。同時に、AIの応答が火に油を注ぐ事例も出るはずです。AI応対と体制整備義務の関係をどう整理するかは、施行後に議論が立ち上がる論点です。

よくある質問

中小企業にも同じ日から適用されるのでしょうか

適用時期は、厚生労働省の公表資料と指針の原文で確認するのが確実です。社会保険労務士事務所などの解説では、労働者を雇用するすべての事業主が対象で、中小企業向けの猶予期間は置かれていないという整理が共通して示されています(参考: 社会保険労務士法人第一綜合事務所の解説記事)。パワーハラスメントの義務化では中小企業に猶予期間があったため、顧問先が同じ前提で構えている可能性があり、一次情報の該当箇所を示して説明する場面になります。

就業規則に規定を置かなかった場合、どうなりますか

制度の担保手段は行政指導と公表です。労働施策総合推進法第33条は、厚生労働大臣による助言、指導または勧告と、勧告に従わなかった場合にその旨を公表できることを定めています(原文は e-Gov法令検索 で確認できます)。カスタマーハラスメントに関する措置義務がこの枠組みの中でどう運用されるかは、指針と厚生労働省の公表資料に即して顧問先に説明する論点になります。

生成AIが作った条文案をそのまま顧問先に渡してよいでしょうか

生成AIの出力は下書きとして扱うのが前提です。条番号の誤り、既存規程との条番号衝突、顧問先の実態と合わない記述が混入しうるため、社会保険労務士が最終確認する工程を省略しない設計にしてください。本稿の7手順では、第7手順がその工程です。

顧問先の相談記録をAIに入れてよいかは、どう判断すればよいですか

社会保険労務士法第21条の秘密保持義務、利用するサービスのデータ利用ポリシー、顧問先の同意の三点をセットで整理するのが出発点です。実務としては、氏名や連絡先を落とした非識別化済みの抜粋のみを投入し、原本は事務所の管理下に置く二層構造を取る事務所が増えています。

相談窓口は社内に置く形でなければならないのでしょうか

窓口の置き方には、社内の担当者が兼務する形、外部委託する形、両者を組み合わせる形といった選択肢が実務上あります。指針が求める内容を満たしているかは、厚生労働省の指針および企業マニュアルの記載に照らして顧問先ごとに確認する論点になります。

準備が施行日に間に合わない顧問先には何から着手させるとよいですか

優先順位としては、相談窓口の設置と周知、就業規則および防止規程の改定、対応マニュアルの整備、管理職教育の順に着手する事務所が多い構成です。窓口と周知は比較的短期間で形にでき、規程改定は意見聴取と届出の手続日数がかかるため、日数の長いものから逆算して日程を押さえる進め方が現実的です。

顧客対応をAIチャットに任せれば、カスハラ対策になりますか

AI応対の導入は、従業員が直接言動を受ける機会を減らす効果が見込まれます。ただし、それ自体で体制整備の措置を満たすかは別の論点です。相談体制、不利益取扱いの禁止、事実確認の手順といった要素は人の運用として残るため、AI応対は補完として位置づける設計が無難になります。

参考文献

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本記事の作成体制について

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。

本記事には特定の資格者による監修は入っていません。個別の事案について法令の当てはめや手続の可否を判断する必要がある場合は、当該分野の有資格者にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な法律判断・税務判断・労務判断を提供するものではありません。

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