技能実習生の労基法違反73.2%|社労士が押さえる3つの数字とAI点検

厚生労働省が2026年9月15日に公表した令和7年の監督指導状況を整理します。技能実習生73.2%、特定技能76.5%の事業場で労基法令違反。社労士事務所が顧問先に案内する初動3点とAI点検の線引きまで解説します。

厚労省が9月1日から36協定支援を拡充、45時間の一律指導を見直し

厚生労働省が技能実習生を使う事業場の73.2%で労基法令違反を公表しました。

厚生労働省は2026年9月15日、令和7年に外国人技能実習生または特定技能外国人を使用する事業場へ行った監督指導と送検の状況を公表しました。技能実習生を使用する事業場では監督指導を実施した13,148事業場のうち9,619事業場、割合にして73.2パーセントで労働基準関係法令の違反が確認されています。外国人材を受け入れている顧問先を持つ社会保険労務士にとって、年に一度の定点観測になる資料です。本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。行政の見解は各府省庁の公表資料で確認しています。

厚生労働省のシンボルマーク

監督指導13,148事業場のうち9,619事業場で違反が確認された

今回の公表で最初に押さえるべきは、違反が確認された事業場の割合が7割を超えているという点です。厚生労働省の報道発表によれば、技能実習生関係では監督指導を実施した13,148事業場のうち9,619事業場で労働基準関係法令の違反が認められました。

主な違反事項は、使用する機械等の安全基準が22.8パーセント、健康診断結果についての医師等からの意見聴取が15.7パーセント、割増賃金の支払が15.6パーセントの順に多くなっています。重大・悪質な違反として送検されたのは26件でした(出典: 厚生労働省 報道発表 2026年9月15日)。

注意したいのは、この数字が「外国人材を受け入れている事業場全体の違反率」ではないことです。労働基準監督署は違反の疑いがある事業場を重点的に選んで立入調査に入っているため、母数は無作為抽出ではありません。顧問先への説明では、この前提を外さないほうが誤解を生みません。実習実施者数や特定技能所属機関数との対比は、別紙1のPDFと別紙2のPDFの2ページ目の参考欄に掲載されています。

特定技能外国人では76.5パーセント、技能実習生を上回った

もう一つの数字が特定技能外国人関係です。監督指導を実施した8,082事業場のうち6,179事業場、76.5パーセントで労働基準関係法令の違反が認められました(出典: 厚生労働省 報道発表 2026年9月15日)。技能実習生関係の73.2パーセントを上回っています。

違反事項の並び順は技能実習生関係とほぼ同じで、使用する機械等の安全基準が20.7パーセント、健康診断結果についての医師等からの意見聴取が16.7パーセント、割増賃金の支払が16.3パーセントでした。送検は9件です(出典: 厚生労働省 別紙2)。

上位3項目が2つの制度でほぼ一致しているというのが、社労士事務所にとっては読みどころになります。在留資格の種類ではなく、受け入れ現場そのものの運用に論点が集中していることを示唆する並びだからです。安全衛生、健康診断のフォロー、時間外労働の割増計算という3点は、日本人従業員の労務管理でも同じ場所でつまずきやすい領域と重なります。

顧問先への初動と、AIを使う場合の線引き

公表資料を受けて事務所が採る動きは、大きく3つに分かれています。

1つ目は、外国人材を受け入れている顧問先の一覧を洗い出し、上位3項目に絞った簡易点検を案内する動きです。機械の安全措置、健康診断後の医師等からの意見聴取の記録、割増賃金の算定基礎という3点だけに絞れば、短時間の確認で済みます。

2つ目は、就業規則や36協定の記載と実際の運用のズレを見る動きです。今回の公表は監督指導の結果であり、書面が整っていても運用が伴わなければ違反として計上されます。

3つ目は、母国語での周知体制を点検する動きです。安全基準に関する違反が両制度で最多である以上、掲示や指示が伝わっているかという素朴な論点に戻ってきます。

この3つの点検で生成AIを使う事務所も出ています。就業規則の条文と点検項目を突き合わせて抜け漏れ候補を一覧化させる、母国語の周知文書の下書きを作らせる、といった使い方です。ただし健康診断の結果は従業員の健康に関する情報であり、顧問先の従業員名や健診データをそのまま外部のAIサービスへ入力してよいかは、各事務所の利用規程と顧問契約上の取り決めで整理しておく論点になります。事務所として線引きが未整備なら、AIに投入するのは匿名化した項目名と条文のレベルにとどめておく、という運用を採る事務所もあります。

まとめ

厚生労働省が2026年9月15日に公表した令和7年の監督指導状況では、技能実習生関係で73.2パーセント、特定技能外国人関係で76.5パーセントの事業場に労働基準関係法令の違反が確認されました。違反事項の上位は安全基準、健康診断結果の意見聴取、割増賃金の支払で、両制度でほぼ共通しています。外国人材を受け入れる顧問先を持つ事務所は、この3点に絞った点検から着手できる段階です。

参考文献

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引用元: 厚生労働省

本記事の作成体制について

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。

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