マイナンバー命令改正案に意見募集 士業事務所が9月30日までに点検する3点

デジタル庁がマイナンバー関連命令の改正案について2026年9月30日まで意見募集を開始。士業事務所が押さえる特定個人情報の管理と生成AI利用の線引き、3つの論点を事実ベースで整理します。

マイナンバー命令改正案に意見募集 士業事務所が9月30日までに点検する3点

デジタル庁がマイナンバー関連命令の改正案について意見募集を始めました。

デジタル庁は2026年8月31日、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆる番号法に関する命令の一部改正案と、個人番号カード等に関する技術的基準の一部改正案について、意見募集を開始したと公表しました。意見提出期間は2026年8月31日から9月30日までの1か月間です。マイナンバー、すなわち個人番号を含む特定個人情報は、年末調整や社会保険の届出をはじめ、士業事務所が日常的に顧問先から預かっている情報です。生成AIを事務所業務に取り込む動きが広がるいま、この領域のルールが動くことの意味を、事実ベースで整理します。

南京錠とICチップ付きのカードがキーボードの上に置かれた、個人番号カードと特定個人情報の管理を象徴する画像

何が起きたか:改正案2件が同時にパブリックコメントへ

今回公表されたのは改正の決定ではなく、改正案に対する意見募集の開始です。デジタル庁は、番号法に規定する個人番号、個人番号カード、特定個人情報の提供等に関する命令の一部を改正する命令の案と、個人番号カード等に関する技術的基準の一部を改正する件の案という2件を、同時に意見募集の対象としています(出典: デジタル庁の公表ページ)。

資料の入手先と意見の提出先は、いずれも電子政府の総合窓口であるe-Govパブリックコメントの該当ページです。提出フォームには、氏名、住所、連絡先を記載する形式で、法人や団体の場合は名称、代表者の氏名、主たる事務所の所在地を記載します。デジタル庁は、締め切り直前はアクセス集中による接続障害が起こる可能性があるとして、期限に余裕を持った提出を呼びかけています。

一方で、改正案の条項レベルの具体的な内容については、本記事の執筆時点でe-Gov掲載資料の中身まで確認できていません。改正内容の詳細は要確認とし、判断を要する場面では原典の資料にあたる前提でお読みください。ここで扱うのは、あくまで意見募集が始まったという事実と、その周辺の制度的な位置づけです。

士業事務所にとっての3つの論点

第一に、影響が及びうる範囲です。特定個人情報の受け渡しは、税務申告の代理、社会保険の手続、各種の届出といった場面で発生します。税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士の各事務所は、業務の性質上この情報に触れる頻度が高い立場にあります。番号法第19条は、特定個人情報の提供の制限として、何人も一定の場合を除いて特定個人情報を提供してはならないと定めたうえで、個人番号関係事務実施者が必要な限度で提供する場合などを例外として列挙しています。改正の対象が命令と技術的基準である以上、法律本体の建て付けそのものよりも、実務の運用面が動く可能性を見ておく段階です。

第二に、生成AIとの接点です。特定個人情報を生成AIのプロンプトに含めてよいかという問いは、多くの事務所で論点になっています。ここで確認すべきは、利用するツールが入力データを学習に用いるかどうかで、これは各ベンダーが公表しているプライバシーポリシーや企業向けの説明ページに記載されています。無償プランと有償プラン、個人向けと法人向けで扱いが異なる例もあるため、事務所として使うツールごとに公表資料を確認する運用を採る事務所があります。公表資料から読み取れない場合は、確認できないという前提で扱うのが安全側の判断です。

第三に、意見募集そのものの意味です。パブリックコメントは、制度が固まる前に実務家が直接意見を届けられる数少ない機会です。現場で手続を回している士業事務所は、書式や運用の細部について、行政側からは見えにくい摩擦を把握している立場にあります。今回のように提出期間が1か月と限られている以上、内容を確認する時期を早めに決めておく段階です。

今後の展望と初動アクション

意見募集は2026年9月30日で締め切られ、その後に提出意見の整理と結果の公示という流れに進みます(出典: デジタル庁の公表ページ)。デジタル庁は、提出された意見に個別の回答はしない一方、必要に応じて整理や要約をしたうえで公示することがあると説明しています。

現時点で採りうる初動としては、次のような対応が考えられます。まず、e-Govに掲載された改正案の資料を実際に開き、自事務所の手続に関係する箇所があるかを確認する作業です。次に、事務所内で特定個人情報を保管している場所と、アクセスできる担当者の範囲を棚卸ししておくことです。さらに、生成AIツールに入力してよい情報の線引きを文書として明文化し、所内で共有している事務所があります。最後に、実務上の支障が見込まれる論点があれば、期限内に意見として提出することを検討する段階です。

これらはいずれも義務として発生している手順ではなく、改正の方向が固まる前に自事務所の状況を把握しておくための準備です。制度が確定してから慌てて対応するより、案の段階で目を通しておくほうが、結果的に手戻りが少なくなります。

まとめ

デジタル庁は2026年8月31日、番号法に関する命令と個人番号カード等の技術的基準について、2件の改正案の意見募集を開始しました。期間は9月30日までです(出典: デジタル庁の公表ページ)。改正案の詳細は原典資料での確認が前提になりますが、特定個人情報を扱う士業事務所にとっては、所内の情報管理と生成AI利用の線引きを見直す機会になります。

参考文献

※士業のチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴事務所の業務に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://shigyonochikara.jp/contact/

引用元: デジタル庁

本記事の作成体制について

本記事は士業のチカラ編集部が、公表されている一次情報のみを根拠に作成しています。法令の条文はe-Gov法令検索の原文で、行政の見解は各府省庁の公表資料で、それぞれ確認したうえで記載しています。引用元は本文中および参考文献にすべて明示しています。

本記事には特定の資格者による監修は入っていません。個別の事案について法令の当てはめや手続の可否を判断する必要がある場合は、当該分野の有資格者にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な法律判断・税務判断・労務判断を提供するものではありません。

記載内容に誤りを見つけられた場合は、お問い合わせよりご指摘ください。確認のうえ速やかに訂正し、訂正履歴を記事内に残します。編集方針の詳細は運営者情報をご覧ください。